トレニアin vitro重複受精系およびそれを応用したシロイヌナズナin vitro重複受精系、また様々な顕微操作技術を駆使することにより、花粉管ガイダンスおよび重複受精過程におけるゲノム障壁の鍵因子を同定することを目指した。特に、助細胞が分泌する花粉管誘引物質、花粉管が誘引物質に応答できるように受精能獲得を促す母体因子AMOR、そして重複受精の動態ならびに重複受精に関与する因子に着目した。その結果、140年以上に渡って探索されてきた花粉管誘引物質を、助細胞が分泌する複数のペプチドLUREとして同定し、LUREがゲノム障壁を特徴づけるような極めて動的な分子進化を示すことを解明した。また、AMORの精製を進め、組織ならびに種特異的に強い活性を示す糖鎖の関与を示すことができた。さらに、重複受精を初めてライブイメージングにより捉えることに成功し、世界的な重複受精研究の進展を先導することができた。同時に、重複受精過程に異常を示す突然変異体を複数見出すことに成功し、今後の植物受精研究の重要な研究基盤を構築することに成功した。
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