計画研究
(1)FUS3による胚成長抑制メカニズムの解析FUS3は種子成熟過程で胚の成長停止反応を正に制御する。人為的発現誘導系により、実生でFUS3を異所発現させて得られる表現型を調べたところ、細胞分裂活性の著しい抑制が観察されたことから、この実生は本来種子で生じる胚成長停止反応を模倣していると考えられた。FUS3を異所発現させた実生では屈地性ならびに、外から加えたオーキシンによるDR5レポーター誘導が消失することがわかった。さらに、fus3変異体種子ではDR5レポーターの異所的な発現が観察された。しかし、オーキシンのレベル自体は変異体において増加してはいなかった。以上の結果は、FUS3が胚成長停止期でオーキシンシグナル伝達の抑制することで細胞分裂活性の停止を制御していることを示唆する。一方、マイクロアレイ解析からは、オーキシンシグナルの負の制御因子であるIAAタンパク質のうち、構成的安定性をもつと予想されるIAA31の発現がFUS3によって正に制御されていることがわかった。(2)種子特異的遺伝子発現のエピジェネティック制御の解析胚成熟期特異的あるいは種子特異的発現を示す遺伝子がエピジェネティック制御を受けている可能性を、エピジェネティック遺伝子発現抑制に異常をもつシロイヌナズナ変異体brulを利用して調べた。体brul変異体でのいくつかの種子特異的遺伝子の発現を調べたところ、胚成熟遺伝子制御ネットワークを統御する因子FUS3の支配下にある2つの遺伝子、bZIP12(At2G41070)およびLOB4(At1G67100)が、葉や幼苗において異所的な発現を示すことが明らかになった。
すべて 2007 2006
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Plant Sexual Reproduction (電子版DOI:10.1007/s00497-007-0044-x)
Plant Sexual Reproduction (電子版DOI:10.1007/s00497-007-0045-9)
Chromosoma 115
ページ: 27-35
Genes Cells 11
ページ: 153-162