計画研究
1. FUS3による胚成長抑制メカニズムの解析これまでに、FUS3の異所発現による成長停止効果が低下した突然変異体を多数単離した。本年度は、以下のfga変異体3つについても候補遺伝子10個以内に絞り込むまでクローニングを進めた。line 3-32 : fga2とは逆に胚軸の成長停止は維持されるものの、他の組織の成長停止が緩和される。候補領域には、既存のABA生合成あるいは感受性に関わる遺伝子が含まれないことより、胚軸以外の組織のABA感受性を正に制御する新規の遺伝子であると予想された。line 2-44 :構成的に成長停止が緩和される。興味深いことにこの変異体はFUS3発現に伴いアントシアニンの蓄積も生じる。やはり、候補領域には既存のABA生合成あるいは感受性に関わる遺伝子が含まれない。line 4-3 : 構成的に成長停止が緩和される。興味深いことに、この変異体は植物体でも腋芽の休眠性の低下が観察された。したがって、この原因遺伝子は胚の休眠のみならず腋芽の休眠にも必要で、両組織での休眠獲得には共通の制御メカニズムが存在する可能性を示唆する。やはり、候補領域には既存のABA生合成あるいは感受性に関わる遺伝子が含まれない。2. イネ無胚乳変異体enl1変異体の解析イネ(Oryza属)の種間交雑ではしばしば胚乳の崩壊と胚の巨大化が観察されるが、無胚乳変異体enl1も類似した表現型を示す。形態観察すると、enl1変異体の胚は、胚の肥大は主に胚盤の異常な細胞増殖が起こるとともに早熟発芽の性質を示した。未熟種子のマイクロアレイ解析を行うと、発芽に関連する遺伝子が異時発現していた。しかし、シロイヌナズナで早熟発芽を示すlec1-b3変異体の場合とは異なり、種子成熟関連遺伝子の発現は正常であった。インディカ系統KasalathとのF2種子を用いて原因遺伝子のマッピングを進め、第4染色体上の約200Kbの領域にまで絞りこんだ。
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