計画研究
1. FUS3による胚成長抑制メカニズムの解析これまでに、FUS3の異所発現による成長停止効果が低下した突然変異体を多数単離した。その一つfga2は、早熟発芽性を示しMoCo sulfuraseをコードするABA3のアレルであることをすでに報告した。本年度は、さらに以下のfga変異体4つについても原因遺伝子を特定した。line2-44=RPN10(AT4G38630);line3-21=HEN2(AT2GO6990);line4-3=XRN4/EIN5(ATIG54490);hne6-1=EMB2763(AT2G17510)。2. LEC1による発芽後プログラム抑制メカニズムの解析lec変異体胚において顕著に異時発現するPYK10遺伝子の発現をGFPレポーターにより追跡した。この遺伝子は、発芽直後から表皮組織で発現するが、胚形成過程では強く抑制されている。野生型胚では発現しないPYK10プロモータ:GFPをlec1背景に導入すると、初期ハート胚においてstochasticなGFP発現がみられ、エピジェネティックな発現抑制の解除を想起させた。さらにPYK10:GFP植物を用いて、GFPが胚において異時発現する新奇変異体を複数単離した3. イネ無胚乳変異体enll変異体の解析enllの組織観察ならびに原因遺伝子の特定を進めた。PI染色による共焦点顕微鏡観察の結果、enllでは多核胚乳の段階においてその核分裂に異常を示し、不定形な巨大核を生ずることがわかった。一方、詳細マッピング、塩基配列解析ならびに遺伝子導入による相補実験の結果、ENL1は、SNF2ドメインならびにhelicaseドメインを持つタンパク質をコードすることがわかった。このENL1タンパク質は、ヒトにおいて嬢染色体の分離やスピンドルチェックポイントに関与するとされているPICHのオルソログと考えられ、enllの核の異常と関連づけうるものであった。
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The Plant Journal 58(5)
ページ: 843-856