計画研究
植物の胚乳では、母親と父親のどちらから遺伝したかに依存して片親性の発現パターンが決定されるインプリント遺伝子が存在する。本研究では、こうしたインプリンティングの決定過程における遺伝情報のエピジェネティックなリプログラミングを明らかにすることにより、胚乳発生におけるゲノム障壁、特にエピジェネティックなゲノム障壁の実体を明らかにすることを目的とした。本年度までに、インプリント遺伝子の活性化、DNA脱メチル化に関与するalac1変異体の解析を進めてきた。原因遺伝子はヒトから酵母まで広く保存されたFACTヒストンシャペロンの構成因子SSRPIをコードすることが明らかになっている。ANAメチル化酵素の変異体(met1)とalac1の2重変異体の表現型、met1とDNA脱メチル化酵素の変異体demeter(dme)の両者の表現型が一致しないこと等から、一つのモデルとしてDNA脱メチル化が起こる前にALAC1によりクロマチンの機能変換がおこっていることが考えられる。遺伝学的な手法で得られた新規モデルを検証するために、胚珠を酵素処理し、中央細胞を顕微鏡下で単離することを試みた。単離中央細胞より抽出したRNAをリニア増幅系で増やし、定量的PCRによりDNA脱メチル化酵素遺伝子DMEとALAC1遺伝子の発現を調べた。結論として、DMEの発現が起こっていても、ALAC1が機能しないと(おそらくはクロマチンの機能変換)DNAの脱メチル化が起こらないことが明らかになった。
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Developmental Cell
巻: 13 ページ: 589-596
http://bsw3.naist.jp/achievements/index.php?id=647