本課題では、出芽酵母および哺乳類におけるユビキチンリガーゼの多様性をCullinファミリーとTRIMファミリーを解析している。Cullin型E3の解析では、出芽酵母やヒトCullin型E3に対する相互作用タンパク質の網羅的探索を進めている。出芽酵母SCF型E3においてYlr224wがCit2、Dph1と、Met30がCad1と、Ufo1がRpi1と、Ydr306cがSpp381と相互作用することを見出し解析中である。さらにはYmr258cがYpt52と結合することにより、Ypt52の活性を負に制御し細胞内輸送を調節していることを明らかにした。出芽酵母Cul3およびCul8型E3に関してはこれらの構成因子を生化学的に調べ、基質候補を検討中である。哺乳類Cullin型E3においては、Fem1BがNek2と、そしてZyg11BがAIF、アンドロゲン受容体とさらにはVHLが細胞周期関連因子と相互作用することを見出し解析中である。TRIMタンパク質を網羅的に解析し、ユビキチン化される基質タンパク質の同定および分子論的解明を行った。現在までのところ、約22種類のTRIMタンパク質のcDNAをクローニングし、その生化学的解析を進め、いくつかのTRIMタンパク質において相互作用タンパク質を同定している。TRIM29がTip60を介してp53の活性を制御すること、またTRIM40はIKKγのNedd8修飾を促進し、胃腸の癌を抑制することを明らかにした。
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