研究概要 |
京都大学・析尾 p62のUBAとポリユビキン鎖の相互作用を解明するため、p62 UBAの発現・精製を行なった。UBAは通常単量体であるが、p62 UBAはゲル濾過・分析超遠心の結果から二量体を形成していることが明らかとなった。また、p62 UBAとユビキチンの相互作用をNMR滴定実験にて検討した結果、ユビキチン側のp62 UBAと相互作用する部位は、以前我々がDsk2 UBAについて得た相互作用部位とほぼ一致した。しかしながら、p62 UBAが二量体であることから、詳細な結合様式には若干の違いがあると考えられる。また、ポリユビキン鎖と相互作用が知られるNEMO(IKK-γ)についても相互作用研究を行なうために、発現コンストラクトを作成した。 名古屋市立大学・山口 NEDD8修飾によるSCF複合体型E3の活性化メカニズムを明らかにするため、NMR解析と部位特異変異実験を行った。その結果、NEDD8はユビキチンのE2(UBC4)と相互作用するが、NEDD8自身のE2(UBS12)とは相互作用しないことが判明した。UBC4分子表面上でNEDD8結合部位とE3結合部位は隣接していることから、ひとたびNEDD8の修飾を受けたSCF複合体はNEDD8自身のE2であるUBC12を排除しつつ、RBX1と協働してユビキチンのE2であるUBC4を選択的にリクルートすることにより、E3活性の亢進に寄与していることが示された。 北海道大学・鈴木 オートファジーにはAtg8系とAtg12系という二つのユビキチン様修飾系が必須である.Atg8とリン脂質の結合を触媒するAtg3およびAtg12が修飾するターゲットタンパクであるAtg5の立体構造をX線結晶解析により決定した.Atg3は一般的なE2酵素と類似のコア領域と2つのユニークな挿入領域とからなっており,挿入領域が触媒活性およびオートファジーに必須であることを明らかにした.Atg5は2つのユビキチンフォールドとそれらに挟まれたヘリックスバンドルからなる構造をとっており,二つの面を用いてAtg12とAtg16の両方に同時に結合できることを明らかにした.
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