計画研究
(京大グループ)昨年度までに、p62のUBAドメインが二量体を形成することによってユビキチンへの結合能が低下することを明らかにしていた。本年度は、同様のことがp62全長でも起きることを明らかにした。また、Rap80のタンデムUIMとK63結合型Ub2の複合体をNMRで決定したほか、NMR緩和実験よりUb結合に伴うタンデムUIMの動的特性の変化を明らかにした。(名市大グループ)プロテアソーム構成タンパク質であるPA28αβ複合体およびα7サブユニットについて重水素ラベルを利用した中性子小角散乱解析を行った。その結果、PA28αβは3個のαサブユニットと4個のβサブユニットが交互に配置し、20Sプロテアソームとの相互作用面同士で会合したダイマー(14量体)とモノマー(7量体)との平衡にあることを明らかとした。この他、α7サブユニットが形成するホモ14量体は特定の2箇所のサブユニットのみが交換可能な状態にあるという興味深い結果を得た。一方、直鎖型ユビキチン鎖を形成するユビキチンリガーゼ複合体の構成要素であるHOIL-1(Ub1)-HOIP(UBA)複合体のX線結晶構造解析により、その立体構造に関する情報を得ることができた。(北大グループ)液胞酵素の選択的オートファジーに関わる受容体Atg19およびAtg34の積荷認識ドメインの立体構造をNMR法により決定し、積荷認識機構の構造的基盤を明らかにした。Atg8のE2酵素Atg3がAtg8-family interacting motifを持つことを同定し、Atg8との相互作用様式を明らかにするとともに、その相互作用が選択的オートファジーに果たす役割を明らかにした。Atg7の立体構造をX線結晶解析法により決定し、Atg7がAtg8を認識し活性化する構造的基盤を明らかにした。
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