計画研究
ユビキチンープロテアソーム系は、時空間的な特異性を持って基質タンパク質を識別して次々ユビキチンを付加してポリユビキチン鎖を形成し、形成されたポリユビキチン鎖がプロテアソームの識別シグナルとなって、基質タンパク質を分解に至らしめる。本研究ではCullin型ユビキチンリガーゼ(CRL)を中心に、基質ユビキチン化からプロテアソームによる分解へと至る経路の解析を進め、COP9/シグナロソーム(CSN)によるCRLの活性亢進メカニズムを解析した。CSNが基質に結合したポリユビキチン鎖とNedd8の両者を識別してCRLと結合した後、ユビキチン化基質をCRLから解離を促進する。基質がCRLから解離した後で、CRLはCullin-Nedd8結合を切断してCRLから遊離することを明らかにした。CSNはCRLの活性化を促進するCuliin-Nedd8結合を切断するため、そのCRL活性化機構の詳細は不明であった。本研究の結果、CRLへのNedd8結合が基質へのポリユビキチン鎖形成を促進し、それに引き続く、Nedd8を指標としたCSNのCRLへの結合が、ポリユビキチン化された基質をCRLから解離させ、CRLがユビキチン化する基質の分子数を増大させることでCRLを活性化させること、すなわち、Nedd8とCSNは相互補完的な形で基質タンパク質のユビキチン化を促進させることが明らかになった。さらに、研究者らが新規に同定した直鎖状ポリユビキチン鎖を形成するE3であるLUBAC複合体の解析も進め、同E3複合体はIKK複合体の構成成分の1つであるNEMOをシグナル依存的に直鎖状ポリユビキチン化することによって、TNF-α、IL-1βによるNF-κBの活性化に関与することを明らかにした。
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