研究概要 |
ユビキチン代謝酵素の異常は神経変性疾患やがんなどの難治性疾患の病態と深く関連しているため,その個体高次機能の解析は欠かせない.本計画研究ではユビキチン代謝酵素の遺伝子改変動物を作製し・その遺伝学的な個体高次機能解析を通じてユビキチン依存性タンバク質分解の生理的役割解明と難治性疾患の病態理解に貢献することを目的とする. 本年度は組織特異的オートファジー欠損マウスを用いた解析から,オートファジーがオルガネラの品質管理に重要であること,そして,神経細胞におけるオートファジー機能不全が神経変性疾患などの原因となることを明らかにしたJ.Biol.Chem.2006;Nature2006). また若年性パーキンソン病の原因遺伝子Parkinのノックアウトマウスを作製した.^<11>C標識した受容体アンタゴニストなどでドーパミン代謝を解析した結果,線条体におけるドーパミンの放出が低下しており,一方,ドーパミン受容体D1およびD2の発現は亢進していることが判明した.Pork2変異では,これらのドーパミン代謝異常を通じて神経細胞死が誘導されると考えられた(J.Neurosci.Res.2006).またPorkinに結合する因子として14-3-3ηを同定し,14-3-3ηはP□□□□□のユビキチンリガーゼ活性を負に制御することを明らかにした(EMBO J.2006). Cullin3に結合するSPOPはDAXXをユビキチン化して細胞死を制御すること(J.Biol.Chem.2006),Cullinの複合体形成を抑制するCAND2が筋分化を制御すること(J.Biol.Chem.2006),そしてCullinを翻訳後修飾するNEDD8にE2酵素が結合することなどを明らかにし報告した(Nat.Struc.Mol.Biol.2007).
|