研究概要 |
ユビキチン代謝酵素の異常は神経変性疾患やがんなどの難治性疾患の病態と深く関連しているため,その個体レベルの高次機能解析は欠かせない.本計画研究ではユビキチン代謝酵素の遺伝子改変動物を作製し,その高次機能解析を進めることで,難治性疾患の病態理解とユビキチン依存性タンパク質分解の生理的役割解明に貢献することを目的とする. 本年度はCullin型ユビキチンリガーゼを構成するF-boxタンパク質Scrapperがシナプスに局在するRIM1をユビキチン化してシナプス小胞の開口放出を制御すること(Cell,130),ダイオキシン受容体がCullin4Aと相互作用して新しいタイプのユビキチンリガーゼ複合体を構成すること(Nature,446),Cullinの複合体形成を制御する新規タンパク質CAND2が筋分化を促進すること(J.Biol.Chem.,282)などを報告した.また筋萎縮に関与するRING型ユビキチンリガーゼMURF1が飢餓応答によってクレアチンキナーゼを分解制御すること(J.Mol.Biol.,376)を報告した.またユビキチン様タンパク質NEDD8がCullin型ユビキチンリガーゼを活性化する分子機構(Nat.Struct.Mol.Biol.,14)について,大腸菌発現系を用いた組換えタンパク質の開発を進めており,その後の進展を学会発表した.またSTRAPがCullin4と相互作用し,TGFβ刺激伝達を制御する新たなユビキチンリガーゼ複合体である可能性を学会発表した.
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