計画研究
カルパインは細胞質内に存在し、厳密に基質を認識して限定分解する、Ca^<2+>-要求性モジュレータ・プロテアーゼである。哺乳類のカルパイン15遺伝子の約半数について、その変異により疾患・致死の引き起こされることが明らかとなっている。よって、カルパインが生体の正常な維持に必須な酵素であることが明確となっている。ヒトのカルパイン不全による疾患には筋ジストロフィー、糖尿病などが含まれ、カルパインを標的とした診断・治療の期待が高まっている。一方で、カルパインの作用機序については未だにほとんどが不明である。そこで本研究では、カルパインの作用機序を個体、細胞、in vitroの各レベルから解析し、カルパイン不全により生体システム破綻のメカニズムを明確にし、カルパインが生体をモジュレートする分子機構の解明を目的とした。今年度は、昨年度までに増殖させたカルパイン及び関連分子の遺伝子改変マウスを利用し、詳細な解析を継続した。まず、筋特異的カルパインについて平常状態と過剰運動負荷時を比較して、プロテオーム解析を行った。その結果、平常時には強い表現型を示さない骨格筋において、分子レベルでは熱ショック蛋白質などが更新していること、さらに、運動負荷時では、さらに更新するべきところが、ノックインマウスではその反応が起こらないこと、などが明らかとなって。一方、胃特異的カルパインnCL-2については、遺伝学的にnCL-4との興味深い関係を見出した。今後その生理的意義を解析したい。
すべて 2008
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