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2008 年度 実績報告書

センサー機能のモーダルシフトによる触覚受容の病的変化のメカニズム

計画研究

研究領域セルセンサーの分子連関とモーダルシフト
研究課題/領域番号 18077002
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

田邊 勉  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70183069)

キーワード分子センサー / 触覚 / 神経因性疼痛 / アロディニア / 痛覚過敏 / 細胞感覚
研究概要

本研究の目的は"触→痛"への応答変換に関与するセンサー分子群の単離と、センサー機能のモーダルシフトによる触覚受容の病的変化のメカニズムを明らかにすることである。昨年度、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)拮抗薬PK11195に"触→痛"への応答変換を阻害する働きがあることを明らかにし、本受容体活性化が神経因性疼痛の発症、維持に関与する可能性を示したがそのメカニズムに関しては不明であった。そこで今年度はこのメカニズムの解明を目標に、PBRの脊髄における発現様式の検討、本受容体が関与する種々のシグナル伝達系の下流分子の活性化、不活性化の影響を探索した。まず神経損傷(SNL)マウス脊髄におけるPBR蛋白の発現パターンを解析したところ、PBRは非損傷サイドにおいてその発現量は非常に低く、損傷サイドの脊髄において有意差の認められない程度のかすかな発現上昇を示すことが明らかとなった。一方、これまでの報告通り損傷サイドの脊髄においてミクログリアの著しい集積が認められた。PBRの生理機能として重要なのはコレステロールをミトコンドリアへと輸送するトランスポーター機能である。運ばれたコレステロールは代謝されプロゲステロンへと変換され、さらに代謝されるとGABA_A受容体のアゴニスト作用を持つアロプレグナノロンへと変換する。そこでPK11195による鎮痛効果がニューロステロイド合成の減少、それに伴う、プロゲステロン受容体あるいはGABA_A受容体活性化の低下によるものかどうかを検討した。その結果、プロゲステロンはPK11195による鎮痛効果に何の影響も及ぼさないことが明らかとなった。それに対しアロプレグナノロンは、PK11195による機械性アロディニアの軽減には何ら影響を与えなかったが、熱性痛覚過敏の軽減作用を抑制した。したがってGABA_A受容体活性化の抑制作用がPK11195による神経因性疼痛抑制作用において部分的に貢献していることが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 学会発表 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (3件)

  • [学会発表] Enhanced stress-induced cell death in HEK293 cells expressing carboxyl-terminal portion of human Cav2.1 with a spinocerebellar ataxia type 6 mutation2009

    • 著者名/発表者名
      T. Tanabe, L. Li, and H. Saegusa
    • 学会等名
      Keystone Symposia : Neurodegenerative Diseases : New Molecular Mechanisms
    • 発表場所
      Keystone CO, USA
    • 年月日
      2009-02-20
  • [学会発表] Co-administration of ATP attenuates peripheral type benzodiazepine receptor antagonist-induced antinociception of neuropathic pain2008

    • 著者名/発表者名
      T. Tanabe, D. Kondo, R. Yabe, I. Takasaki, T. Kurihara, H. Saegusa and S. Zong
    • 学会等名
      The 38th Annual Meeting of the Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      2008-11-17
  • [学会発表] Enhanced expression of peripheral-type benzodiazepine receptor induces neuropathic pain through the activation of microglia2008

    • 著者名/発表者名
      T. Tanabe, D. Kondo, R. Yabe, I. Takasaki, T. Kurihara, H. Saegusa and S. Zong
    • 学会等名
      The 3rd Asian Pain symposium
    • 発表場所
      Fukuoka, Japan
    • 年月日
      2008-07-18
  • [備考]

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/med/mphm/Yakuri.HTM

  • [産業財産権] 神経因性疼痛治療剤2008

    • 発明者名
      田邊勉
    • 権利者名
      科学技術振興機構・東京医科歯科大
    • 産業財産権番号
      特許第4221383号
    • 取得年月日
      2008-11-21
  • [産業財産権] 神経因性疼痛治療剤2008

    • 発明者名
      田邊勉
    • 権利者名
      科学技術振興機構・東京医科歯科大
    • 産業財産権番号
      特許第4222614号
    • 取得年月日
      2008-11-28
  • [産業財産権] 神経因性疼痛治療剤2008

    • 発明者名
      田邊勉
    • 権利者名
      科学技術振興機構・東京医科歯科大
    • 産業財産権番号
      特許第4227121号
    • 取得年月日
      2008-12-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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