計画研究
本研究は、味覚センサーの種間的、空間的、時間的モーダルシフトについて追求するため、1)甘味センサー受容体の、レプチン受容体やTRPM5チャネルなどセンサー群との相互作用による感受性変化を調べ、次に、2)塩味センサーチャネルENaCの機能発現動態について、マウス系統差に関与するENaCサブユニットのアミノ酸変異について調べ、その塩味応答との連関について解析する。それに伴う「嗜好」から「忌避」への行動変化に至るモーダルシフトの詳細を細胞から個体レベルで解析する。その結果、1)においては、マウスの単離味蕾標本を作成し、受容膜側に与えた各種味刺激に対する味細胞の応答をルースパッチ法により、活動電位として捉え、基底外側膜側に与えたレプチンによる応答変化を測定したところ、甘味に特異的に応答する細胞群の内、その約半数が10ng/mlのレプチンにより有意の抑制効果を示した。この事実は、甘味感受性細胞にはその半数にレプチン受容能があること、さらには甘味感受性細胞はレプチン感受性で2群に分類されることが分かった。また、2)においては、129マウスはENaCアルファサブユニットにB6マウスと異なるアミノ酸変異があり(ベータおよびガンマサブユニットには変異はなかった)、両者のF2世代の遺伝子型と塩味応答のアミロライド感受性が連関することが分かった。すなわち、F2世代の129/129型の鼓索神経NaCl応答のアミロライドによる抑制率は約15%と、B6型もしくはB6/129ヘテロ型の示す約40%に比べ有意に低いことが明らかになった。そのアミノ酸変異により実際の味細胞でどのような変化がもたらされているのかを今後の研究で明らかにする予定である。
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