計画研究
本研究は、味覚センサーの種間的、空間的、時間的モーダルシフトについて追求するため、1)甘味センサー受容体の、レプチン受容体やTRPM5チャネルなどセンサー群との相互作用による感受性変化を調べ、また、あらたな修飾物質の探索と、そのセンサーと既知の修飾物質センサーとの相互連関を解析する。次に、2)塩味センサーチャネルENaCの機能発現動態について、マウス系統差に関与するENaCサブユニットのアミノ酸変異について調べ、その塩味応答との連関について解析する。また、ENaCサブユニットの味細胞における発現の舌部位特性や、量的差異や、それに伴う「嗜好」から「忌避」への行動変化に至るモーダルシフトの詳細を細胞から個体レベルで解析する。本年度は、1)においては、昨年度樹立したマウスの単離味蕾標本による味細胞甘味応答の修飾物質候補の探索系と、鼓索神経の味応答や短時間リック測定による行動応答変化の計測系を用い、新規修飾物質候補について検索したところ、内因性カンナビノイドであるアナンダミドや2-AGが甘味応答を増強することを示唆する結果を得た。しかし、味細胞応答の解析では、コントロールの30%程度の増強を示したが、統計解析には、まだ例数が不足し、濃度応答などを含めさらなる探索が必要である。同様に、神経応答や行動応答についても、甘味応答の増大が認められるものの、投与後の時間経過などが十分に検討されていない。また、受容体の発現解析はまだ不明である。いずれも今後の解析により明らかにする必要がある。また、2)においては、昨年度ENaC-alphaサブユニットのアミノ酸変異とマウス塩味応答のアミロライド感受性が連関することを示した。本年度は、ENaCの各サブユニット間の発現と、その舌部位について検討し、その結果、アミノ酸変異は受容膜表面における発現量との関連があり、各サブユニットのアセンブリ形成から膜輸送に至る過程に関連する可能性が示唆された。アミロライド感受性の舌部位差との関連では、非感受性の舌後部ではbeta、gammaサブユニットの顕著な低下が認められ、サブユニット間の機能的アセンブリの形成に問題がある可能性が示唆された。
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