計画研究
本研究は、味覚センサーの空間的、時間的、種間的モーダルシフトについて追求するため、1)甘味セルセンサーの、レプチン受容体やカンナビノイド受容体との相互作用による感受性変化を調べ、それらの相互連関を解析する。次に、2)塩味セルセンサーの機能発現動態について、マウス系統差に関与するENaCのアミノ酸変異と塩味応答との連関、さらには味細胞応答とENaCサブユニットの発現特性との連関を検索する。また、3)新たなエネルギーセンサーとして、味細胞における脂肪酸受容体の発現と機能の検索を行う。その結果、1)においては、カンナビノイド受容体遺伝子ノックアウト(CB1-KO)マウスと野生型マウスを用いた解析により、エンドカンナビノイドであるアナンダミド(AEA)や2-AGが甘味に対する味神経応答や行動応答を増大させ、その甘味増大効果はCB1-KOマウスで消失していることが分かった。また味細胞においても甘味応答がAEAと2AG処理後に増加し、その増加はCB1アンタゴニストで消失することからCB1を介するものであることが示唆された。さらにCB1発現味細胞の約70%が甘味受容体コンポーネントT1R3を発現することから、甘味応答増大はCB1を介することが確認された。その結果、摂食抑制物質レプチンと摂食促進物質エンドカンナビノイドは味細胞でも拮抗的に働いて、嗜好行動のモーダルシフトに関与することが示唆された。2)においては、ENaCアルファサブユニットのアミノ酸変異がアミロライド感受性塩味応答と連関すること、塩味応答味細胞の約50%がアミロライド感受性も示し、シナプス保有III型細胞はアミロライド非感受性であり、ENaC発現も前者のみに見られることが判明した。3)では、味神経は各種脂肪酸に対し応答を示すこと、GPR40は舌後部に、GPR120は舌前後部両方に発現しており、鼓索神経と舌咽神経の脂肪酸応答プロファイルがそれら受容体の特性と一致することから、脂肪酸応答に両受容体の関与が示唆された。
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