研究領域 | セルセンサーの分子連関とモーダルシフト |
研究課題/領域番号 |
18077006
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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研究分担者 |
長友 敏寿 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (50258604)
藤原 広明 産業医科大学, 医学部, 助教 (10369051)
横山 徹 自治医科大学, 医学部, 助教 (80425321)
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キーワード | 生体分子 / セルセンサー / 浸透圧 / 神経ペプチド / バゾプレッシン / シチプス / TRP / GFP |
研究概要 |
本研究では、中枢性浸透圧調節系の主軸となる飲水行動およびバゾプレッシン系に焦点を当てている。本年度は、(1)ラットおよびマウス脳スライス標本を用いて、パッチクランプ法により視索上核神経分泌ニューロンへの興奮性および抑制性シナプス入力に対するTRPA1アゴニスト、浸透圧変化、アンギオテンシンIIおよびグレリンの投与の効果を検討した。その結果、ラットにおいてTRPA1アゴニストが興奮性シナプス入力を増強することを見出した。マウスにおいては、TRPVIノックアウトマウスにおいて、浸透圧変化、アンギオテンシンIIおよびグレリンの投与による興奮性シナプス入力の増強効果が減弱していることが明らかとなった。TRPV4ノックアウトマウスについては、野生型と反応性に差異がなかった。(2)リラキシン-3をラット脳室内に投与すると浸透圧感受性部位である脳室周囲器官などが活性化し、飲水行動が濃度依存的に惹起された。(3)バゾプレッシン-eGFPトランスジェニックラットを用いて、卵巣摘出ラットでの浸透圧変化に対するバゾプレッシン分泌およびバゾプレッシン-eGFP遺伝子発現の変化を検討した。その結果、卵巣摘出ラットでは、浸透圧に対する反応性が減弱していた。(4)バゾプレッシン-eGFPトランスジェニックラットおよびFos-mRFPトランスジェニックラットにおいて腹腔内に高張食塩水を投与後、GFPおよびRFPの変化を観察した。その結果、細胞質でのGFP蛍光の増強と細胞核内のRFP蛍光が同一の神経分泌ニューロンで観察できた。(5)バゾプレッシン-eGFPトランスジェニックラットの視索上核から単離・培養したeGFP陽性ニューロンからパッチクランプ法を用いてシナプス入力の記録を試みた。その結果、単離ニューロンにおいてもシナプス終末が残存しており、興奮性および抑制性シナプス入力が記録できることを明らかにした。
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