研究領域 | セルセンサーの分子連関とモーダルシフト |
研究課題/領域番号 |
18077008
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
岡田 泰伸 生理学研究所, 所長 (10025661)
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研究分担者 |
秋田 天平 生理学研究所, 細胞器官研究系, 特任助教 (00522202)
赤塚 結子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (90321611)
沼田 朋大 京都大学, 工学研究科, 助教 (20455223)
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キーワード | アニオンチャネル / カチオンチャネル / TRPM7 / モーダルシフト / 蛋白-蛋白相互作用 / メカノセンサー / 容積センサー / ROSセンサー |
研究概要 |
細胞の増殖や移動などの生存メカニズムのみならず細胞死の誘導メカニズムにも本質的な役割を果たす細胞容積調節機構には、メカノセンサーとしての細胞膜伸展感受性カオチンチャネルと、容積センサーとしての容積感受性外向整流性アニオンチャネル(VSOR)の働きが重要な役割を果たしている。本研究では、容積センサーでもあり、時にはROSセンサーとしても働くアニオンチャネルVSORと、メカノセンサーでもあり、同時にオスモセンサーでもあると共にVSORレギュレータでもあるカチオンチャネルTRPM7の多機能性とその動作変換の分子基盤、分子連関を解明することを目的とする。容積センサーVSORの容積増時活性化メカニズムに、細胞質型ABC蛋白質であるABCF2とアクチン結合蛋白質であるACTN4との蛋白-蛋白相互作用が負の役割を果たすことがわかったので、アクチンの挙動を調べたところ、このABCF2-ACTN4相互作用はアクチン重合阻害剤で促進されることが明らかとなった。VSORのROS刺激時活性化メカニズムにもABCF2-ACTN4相互作用が負の役割を果たすことも明らかとなった。次に、脳内オスモセンサー細胞であるアルギニンバゾプレッシン(AVP)ニューロンにもVSORが発現しており、低浸透圧刺激時に細胞容積増を検知して活性化することが明らかになった。AVPニューロンの高浸透圧時のオスモセンスにはTRPV2が関与すると考えられているが、低浸透圧時のオスモセンスにはVSORが関与していることが考えられ、今後これら両者の相関について調べる必要がある。一方、メカノセンサーカチオンチャネルTRPM7は、高浸透圧で活性が増大するといういわばオスモセンサーとしてもふるまうことが明らかとなったが、これは細胞内浸透圧増や内外浸透圧差を検知するのではなく細胞外での浸透圧増を検知するものであることが明らかになった。
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