研究領域 | セルセンサーの分子連関とモーダルシフト |
研究課題/領域番号 |
18077009
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
鍋倉 淳一 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (50237583)
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研究分担者 |
石橋 仁 生理学研究所, 発達生理学研究系, 准教授 (50311874)
渡部 美穂 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特任助教 (10399321)
高鶴 裕介 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特別協力研究員 (30446265)
前島 隆司 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (70399319)
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キーワード | KCC2 / GABA / リン酸化 / lipid raft / オリゴマー / クロール |
研究概要 |
脳内の代表的抑制性伝達物質GABAに対するセンサーであるGABA-A受容体は細胞膜に存在し、内在するC1-チャネルの開口を惹起し、化学的勾配に従うC1イオンの流出入がおこる。そのため、GABAシグナル応答のダイナミックスは、細胞内C1濃度に依存する。神経細胞特異的C1センサーであるKCC2(K-C1共役担体)は、細胞内外のC1とK^+濃度差を感知し、細胞内C1濃度を決定する最も重要分子である。KCC2機能の発達増加に起因して、GABAは未熟期の興奮性作用による神経回路の構築/再編の促進から、成熟動物における抑制性伝達物質としての作用へ変化する。発達/障害後におこる時間的機能/発現変化と、GABA応答のモーダルシフトの分子メカニズムを明らかにした。 KCC2のチロシンリン酸化部位のdeletion mutantを作成し、GT-1細胞に発現させた結果、KCC2の機能の消失が確認された。また、脱リン酸化によって、細胞表面の発現分布がドット状から均一分布に変化した。詳細を検討した結果、KCC2は細胞膜のlipidraftに多く存在していた。脱リン酸化によって、raftにおける発現が減少した。さらに、raftに存在するKCC2は複数の分子でオリゴマーを形成していることが判明してが、脱リン酸化によってモノマーになることが判明した。 この結果は、KCC2はリン酸化されることによって、細胞膜の機能ドメインであるraft分画に存在し、複数の分子がオリゴマーを形成し、機能していることが判明した。 障害時には、KCC2は脱リン酸化され、上記機能モチーフが失われその機能が消失することが判明した。
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