計画研究
脳内グリア細胞はATP等細胞外ヌクレオチドをグリア伝達物質として、グリア細胞及び神経細胞と積極的なコミュニケーションを図っている。脳傷害時のミクログリアの役割を、ミクログリアのATPセンサー機能-メカノセンサーとの相互連関の側面から検討を加えた。傷害を受けたニューロンはATP等のヌクレオチドを放出し、ミクログリアはこれをセンスして傷害部位に集合し、分裂し、ニューロンの修復に努める。この際、ミクログリアP2Y12受容体が中心的な役割を果たす。本研究により、傷害されたニューロンは、ATPだけでなくピリミジンヌクレオチドであるUTPを大量に放出していることが明らかとなった。このUTPは放出後速やかに細胞外ヌクレオチダーゼで分解されUDPとなった。ミクログリアはUDPをセンスするP2Y6を発現しており、これはニューロンが傷害されると発現が亢進することが明らかとなった。傷害部位に集合したミクログリアは、UDPをP2Y6受容体によりセンスすることにより、ど貪食能のスイッチが入ることが明らかとなった。ミクログリアはニューロンの修復に努めるだけではなく、既に傷害され、修復が不可能となったニューロン及び細胞破片については、それを貪食作用によって脳内から取り除いている可能性が示唆された。P2Y6受容体自身は、貪食を引き起こす実行分子では無く、そのスイッチであった。今後、ミクログリアP2Y6受容体とリンクする貪食受容体を明らかとする予定である。
すべて 2006 その他
すべて 雑誌論文 (6件)
ペインクリニック 27
ページ: 560-568
Pain Research 21
ページ: 133-139
Mol. Pharmacol. 70 (1)
ページ: 319-328
Eur J Pharmacol. 540
ページ: 1-9
J Pharmacol Sci. 102 (4)
ページ: 368-376
Nature (印刷中)