計画研究
(1)表皮ケラチノサイトには2つの温かい温度で活性化する温度センサーTRPチャネル、TRPV3,TRPV4が発現している。TRPV4と結合する分子を探索したところ、βカテニンと結合することが明らかとなり、さらにカドヘリンと複合体を形成することが判明した。角化層を除くとTRPV4欠損マウス皮膚の水分透過性が亢進し、色素浸入や水分蒸散が野生型マウス皮膚より有意に多くなった。新生仔マウスケラチノサイトを培養するとTRPV4ケラチノサイトで細胞接着構造の完成や有意に遅くなることが分かった。皮膚では、環境温度をTRPV4で感知して細胞内にCa^<2+>を流入させてアドヘレンスジャンクションを強め、続いてタイトジャンクション構造を強めて細胞接着性バリア機能を果たしているものと考えられた。(2)TRPV3は両棲類で出現することから、ニシツメガエルTRPV3を遺伝子クローニングし、アフリカツメガエル卵母細胞に強制発現させて2電極電位固定法で解析したところ、哺乳類では温かい温度で活性化するTRPV3が約17度の低温刺激で活性化することが明らかとなった。進化の過程で活性化温度閾値を逆転(モーダルシフト)させたと考えられた。(3)マウス食道上皮にTRPV4が強く発現し、化学物質刺激、機械刺激、温度刺激によって活性化することをCa-imaging法、パッチクランプ法によって見いだした。また、TRPV4チャネルの活性化によりATP放出が著しく増加することが分かった。この食道上皮細胞からのATP放出は熱刺激によっても起こり、TRPV4欠損マウスで有意に小さかったが、TRPV3欠損マウスでは野生型マウスと差がなかった。小胞ATPトランスポータVNUTも共発現しており、TRPV4活性化によって流入したCa^<2+>がVNUTを発現する小胞の細胞膜へのfusionを促進させてexocytosisによってATP放出がもたらされるものと推定された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
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