研究概要 |
酵素ドメインの構造変化による電位センサー機能の変化のメカニズム 電気生理学的計測とイメージング計測により,VSPがPIP2を脱分極時に脱リン酸化ことを見いだした(J.Physiol,2007)。前年度に見いだした酵素ドメインの構造変化に伴って電位センサーの膜電位依存性とキネティクスが大きく変化することはゲート電流が酵素ドメインの状態によって構造変化のスピードが変化することを意味し,膜電位依存的に酵素活性が変化する分子機構を考える上で重要である。そこでゲート電流の計測が容易なZebrafishのVSPについて酵素ドメインの様々な変異や欠失ミュータントを作成し,酵素活性とゲート電流の両方を計測した。その結果両ドメインが強く共役していることを明らかにした(J. Biol.chem.In press)。 リンカー領域の構造と役割 リンカー領域を様々に改変した分子を作成し,ゲート電流の計測と酵素活性の計測を行った。リンカー部分16アミノ酸の前半8アミノ酸のうち,前後4っのアミノ酸のいずれを欠失してもカップリングが失われることが明らかになった。 基質特異性の決定機構の解明 PTENとVSPの基質特異性が異なることをこれまで電気生理学的計測とイメージングにより明らかにしてきた。今回,分子基盤をマラカイトグリーンアッセイやTLCによる解析により明らかにした。その結果,VSPのG365のグリシンが,5'ホスファターゼ活性に必須であることを見いだし,PTENとの基質特異性の分子基盤となっていることを見いだした(原著論文PNASに投稿、revise中)。 モジュールの組み替えによるVSP-PTENの作成の試み VSPの電位センサードメインとPTENをキメラにした分子を作成しつつある。現在様々なキメラ体についてPCRプライマーの設計を行っている。
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