本年度、以下の3つの研究を行った。(1) 酵素活性の膜電位ダイナミックレンジの解析:PH-ドメインGFP融合蛋白分子を用いてVSPによるPIP2の脱リン酸化過程を蛍光顕微鏡により解析した。細胞骨格破壊による効果は、必ずしもPHドメインGFPの変化速度を増加させず、アクチン細胞骨格により、移動が阻害されているか否かについて明確な結論は得られなかった。一方、ゲート電流の計測を行った卵細胞において、膜電位依存的酵素活性の計測を行った結果、VSPの発現量が適度な範囲であるときに、膜電位ダイナミックレンジが、電位センサーのそれと対応し、VSPが過剰に発現する場合には低い電位でPHドメインGFPの移動速度が飽和することが明らかになった。(2) PI(4)PのイメージングによるPIP2の脱リン酸化活性を計測し、脱分極による増加が細胞膜直下で起こることが示されたが、PIP2センサーであるPHドメインGFPにおいてみられた幅広い膜電位依存性は検出できなかった。これはPI(4)Pに対するセンサー分子の感度の問題と考えている。(3) VSPを動物種間で比較するため、これまで解析してきたホヤ、ゼブラフィシュに加え、アフリカツメガエル、トリ、ウニのVSPの細胞内領域を大腸菌発現系を用いて精製した。
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