計画研究
平成18年度は、地方環境税の事後評価に重点的に取り組んだ。方法としては、森林環境税あるいは産業廃棄物税を導入した地方政府のうち、特徴をもつケース(神奈川県、滋賀県、岡山県、福岡県、北九州市、高知県)を選び、事前調査の上、実際に各地方政府の担当者を訪れてヒアリング調査と資料収集を行った。これらは、いくつかの存在する地方環境税類型のそれぞれを代表する典型事例だと我々が判断したケースである。その結果、明らかにできた内容は、次の通りである。まず産業廃棄物税については、三重県が既に導入5年経過後の条例見直しを終えており、第1期の産廃税条例を大きな変更なく継続していること、そして、他の地方政府も現行条例案をほぼ踏襲する形で継続するだろうことである。次に、それがもたらしたインセンティブ効果については、きわめて検証するのが難しく、事後的な検証作業を定量的に行った三重県にしても、効果判定に困難を感じている。その原因は、産廃量に関するデータはあるが、その増減が産業廃棄物税導入の影響とは一概に断定はできないからである。また森林環境税について、高知県調査で明らかになったのは、条例見直しに際して森林環境税の目的とその根拠の大きな変更が行われたということである。第1期森林環境税の目的は水源涵養であり、流域における上下流連携と応益原則の論理で森林環境税が根拠づけられた。しかし、第2期森林環境税はその目的を地球温暖化防止のための森林吸収源拡大へと切り替えた。その結果、これまでの課税根拠では正当化できないという問題が生じている。本研究班ではこの点について議論を行い、暫定的にではあるが、国庫補助と森林環境税の組み合わせという財源調達方式を捉えて、森林吸収源拡大による便益のスピルオーバーに対しては国庫補助を、高知県民の応分の責任に相当する部分は森林環境税収入を割り当てるという論理で説明できると考えている。
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税務弘報 第55巻第8号
ページ: 122-131
月刊廃棄物21(韓国の月刊廃棄物誌) 第8巻第2号
ページ: 44-54
桃山学院大学総合研究所紀要 第33巻第2号
ページ: 65-100