計画研究
初年度の研究として、二つの調査(1)、(2)を行い、その成果として予備的な考察(3)を得た。また、中間的な研究成果を公表する作業(4)を行った。各項の具体的内容は以下の通りである。(1)現地実態調査:コモンの権利に関し、イングランドのカンブリア地方とロンドン周辺、およびウェールズ南部において現地調査を行った。また、コモンズに類似する制度の下での資源管理に関し、インドネシアのカリマンタン、および、フィリピンで現地調査を行った。さらに、入会権やそれに類似する慣行、および法定外公共物の現況に関し、沖縄県国頭村と与那国町、鹿児島県瀬戸内町、山口県上関町、山梨県身延町、長野県飯山市において実態調査を実施した。(2)日本の財産区の悉皆調査:かつての入会林野の一部は現在では財産区有林になっており、また地域住民の管理する温泉、溜池なども財産区になっていることがある。そうした現状を把握するため、全国約1800の財産区に対し郵送によるアンケート調査を行い、膨大な返答内容の整理作業を開始した。(3)予備的な考察:以上の調査や文献調査を通じて、入会権やコモンの権利が、日英両国において環境保全の方向で機能していることが判明しつつある。これは、林業不況などの困難にもかかわらず、森林や草地が景観や生物多様性の維持に不可欠であるという認識の広がりに起因するものと思われる。(4)研究成果を広く公表するための作業として、季刊広報誌『Local Commons』を第2号まで刊行した一方、ディスカッション・ペーパー用の原稿数本の作成を行った。
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Multi-level Environmental Governance for Sustainable Development Discussion Paper J07-06
ページ: 1-31
コモンズをささえるしくみ-レジティマシーの環境社会学(宮内泰介編)(新曜社)
ページ: 55-81
里川の可能性-利水・治水・守水を共有する(鳥越皓之・嘉田由紀子・陣内秀信・沖大幹編)(新曜社)
ページ: 33-65
山林 1462号
ページ: 69-75
専修経済学論集 40号3巻
ページ: 97-133
都市問題 97巻7号
ページ: 50-57