研究領域 | シンギュラリティ生物学 |
研究課題/領域番号 |
18H05409
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
渡邉 朋信 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (00375205)
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研究分担者 |
椎名 毅 京都大学, 医学研究科, 教授 (40192603)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 生体深部イメージング / 光音響イメージング / 光シート顕微鏡 / 近赤外蛍光計測 |
研究実績の概要 |
シンギュラリティ現象の実験データ取得には、 (1)シンギュラリティを引き起こす稀有な細胞(シンギュラリティ細胞)の出現、(2)細胞間相互作用の爆発的増加(臨界点)の発生、(3)細胞集団の相転移(シンギュラリティの発生)の一連を余すことなく観察する必要がある。上記に鑑みて、本研究では、シンギュラリティ現象を観察する手段として、(1)非侵襲生理機能イメージング法、および、(2)全細胞動態イメージング技術を開発する。2018年度における研究進捗は以下である。 (1) 非侵襲生理機能イメージング法:「生理機能により光吸収の量やスペクトルが変化する蛍光蛋白質プローブ」の信号変化をマウス固体内で検出できる光音響イメージング装置を構築した。近赤外領域と比べ可視域(波長532 nm付近)の光音響信号強度は有意に高く、特に波長532 nm付近において、蛍光蛋白質は遺伝子にコードされた光音響用分子プローブとして有用であることが確認された。 (2) 全細胞動態イメージング技術: レーザーシート顕微鏡技術を基本軸として、構造化した光シートと数学的手法によるシート光の薄化、および、生体試料内においては自家蛍光源がほとんどない波長1000nm超の蛍光観察技術をレーザーシート顕微鏡へ導入を行った。構造化光シートと数学的手法により疑似的な共焦点効果を得ることができ、光軸方向の分解能および画像コントラストが向上することが確認された。また、波長1000nm超領域を用いることで、0.5%イントラリピッドを用いた疑似生体試料において、観察深度5mm下で約90%透過していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、遅延が生じたが、その後は予定より進展が早く、結果として予定通りの進捗となった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、それぞれの技術基盤をプロトタイプとして確立する。その後、大口径対物レンズと超高画素検出器を搭載する顕微鏡AMATERASに導入する。2019年度の研究計画は以下の通りである。 (1)非侵襲生理機能イメージング法:引き続き、装置の改良構築を行っていく。具体的には、また、小動物の計測を対象とした、到達深度の高く、可視光域から近赤外光域まで計測可能なAR(Acoustical Resolution)型光音響イメージング顕微鏡の構築を行う。 (2)全細胞動態イメージング技術:顕微鏡構築が一か月ほど遅延したが、おおむね当初の予定通り、必要とされる基盤技術の開発およびプロタイプを用いた実証実験を行っていく。本研究においては、顕微鏡システムのみならず、機能性リガンドを持つ近赤外有機色素の合成やトランスジェニックマウスの作成など、他分野の技術開発も同時に行っていく。
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