研究領域 | シンギュラリティ生物学 |
研究課題/領域番号 |
18H05416
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30240849)
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研究分担者 |
中澤 敬信 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00447335)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | シンギュラリティ / 精神疾患 / 全脳 |
研究実績の概要 |
精神疾患等の脳疾患は、少数の細胞群の活動異常の蓄積に環境要因等が加わるという、シンギュラリティ現象の破綻により引き起こされる可能性が考えられるが、少数の細胞群の機能異常がどのように脳の広い領域に影響をあたえ、個体の精神活動を変化させるのかは不明である。これらの課題に取り組むため、本年度は以下の研究を実施した。 1)疾患モデルマウスのシンギュラリティ細胞の特性解析 これまでに見出した脳疾患モデルマウスのヒト脳疾患と関連するシンギュラリティ(候補)細胞の特性を詳細に解析するため、蛍光タンパク質の輝度や神経活動の活性化のタイムコースを指標に、細胞を分取し、シングル細胞のRNA発現解析を実施した。その結果、複数の遺伝子発現パターンにより、周囲の細胞と区別できることを明らかにした。また、本課題で用いている脳疾患モデルマウスに関連する脳疾患患者由来のiPS細胞から分化させた神経細胞を用いたトランスクリプトーム解析により、神経発達段階における遺伝子発現に異常があること、また同細胞における電気生理学的な解析により、シナプス機能に異常をあることが明らかになった。 2)複数時点や複数神経細胞種の神経活動レポーターマウス等の開発 全脳イメージングシステムFASTの高速性と高分解能の両立を目指しており、改良を継続中である。シンギュラリティ現象の解析のためには、さらに、複数神経細胞種を同時にイメージングする技術や活動の履歴に依存する神経細胞の脳機能変化を経時的に捉える時間分解能が必要である。そこで昨年度に引き続き、時間分解能を高めた不安定型蛍光タンパク質、タモキシフェン誘導型Cre組み換え酵素、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子tTA等を用いた、レポーターマウスや対応するレポーターウイルスを開発している。今後は、レポーターシステムを完成させ、全脳細胞イメージング法を持ちて機能的な検証を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、複数の精神疾患モデルマウスの全脳活動マッピングを実施し、シンギュラリティ(候補)細胞を同定し、シングル細胞のオミックス解析から、シンギュラリティ(候補)細胞の分子特性を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、脳疾患に関わるシンギュラリティ現象を時空間的に操作・制御し、脳疾患の新規治療法の提案や脳の動作原理の解明を目指す。
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