研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
18H05425
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村田 武士 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (80415322)
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研究分担者 |
長門石 曉 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (30550248)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 発動分子 / 構造基盤 / 物理化学評価 |
研究実績の概要 |
本計画班は、研究対象となる発動分子の物理化学的性質と立体構造情報を明らかにすることで、発動分子を合理設計・理論計算するための物理化学評価と構造基盤を確立し、「発動分子科学」の創成・発展に貢献することを目的としている。以下に当該年度に得られた研究成果の概要を記載した。 (1)発動分子の物理化学解析(長門石が担当):タンパク質間相互作用によるタンパク質の繊維化、クラスター化の制御を試み、その物理化学的な解明を行った。その結果、タンパク質の繊維化やクラスター化は、低い会合定数を駆動力としていることが示されて、静電的な作用によるコントロール、および低分子化合物による制御が可能であることが明らかとなった。さらに示差走査型熱量計(DSC)に関して、主に膜タンパク質を用いて、サンプルのバッファー条件、洗浄条件、リファレンス条件の最適化を行い、生体発動分子の物理化学的な熱安定性評価を立ち上げた。 (2)理論的耐熱化変異体作製技術の開発(村田が担当):生体発動分子の立体構造に基づく創造研究を促進するためには、構造解析を容易にする耐熱化変異体の作製がカギとなる。研究代表者らが開発した膜受容体用の理論的耐熱化変異体予測法を標的となる光駆動型生体発動分子用に改変した。実験検証と計算パラメータの最適化を繰り返すことによって、光駆動型生体発動分子に適合した耐熱化変異体予測法を確立した。 (3)生体発動分子の耐熱化と構造解析(村田が担当):B01班や公募班と連携し、上記で確立した耐熱化技術を用いて光駆動型生体発動分子の耐熱化変異体を創出した。そして、DSCによる物理化学的解析を分担者(長門石)に依頼した(現在解析中)。また、本変異体の立体構造を明らかにするために結晶化及びX線結晶構造解析を行った。微結晶は得られたが、立体構造解析可能な回折像は得られていない。現在結晶化条件の最適化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、(1)物理化学的な熱安定性評価の確立、(2)光駆動型生体発動分子に適合した耐熱化変異体予測法の確立、(3)光駆動型生体発動分子の耐熱化変異体の創出に成功した。このため予定通り順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従って、各研究項目を継続する。そしてA01班やB01班、公募班と連携し、世界で最も耐熱性の高い光駆動型生体発動分子の創出を目指す。
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