研究実績の概要 |
(1)発動分子の物理化学解析(長門石が担当):本年度は、A01班が創出した生体発動分子の各種変異体に関して、DSC測定による熱安定解析にて成果が得られた。DSCのピーク形状より、多段階の変性が起こることが観察され、蛋白質の安定性が複数のドメインによって構成されていることが示唆された(論文準備中)。 (2)理論的耐熱化変異体作製技術の開発(村田が担当):本年度は、光駆動発動分子に対する理論的耐熱化変異体予測法の開発を継続した。具体的には、サーモフィリックロドプシン(TR)の膜外部位のアミノ酸置換体の構造予測方法の検討と理論計算のエネルギー項の最適化を行った。その結果、2-4度程度耐熱化したTR変異体を4種類得ることに成功した(Proteins 89, 301-310, 2020)。 (3)生体発動分子の耐熱化と構造解析(村田が担当):得られた光駆動発動分子(TR)の耐熱化変異体のホモロジーモデル構造を作成し、理論解析を行うことにより耐熱化メカニズムを明らかにした(論文準備中)。 (4)人工およびハイブリッド発動分子の構造解析(村田が担当):人工合成した糖ペプチド分子とそれを認識する抗体分子の結晶化およびX線結晶構造解析に成功した(BBRC 533, 57-63, 2020)。 (5)発動分子の合理設計指針の提案(長門石、村田が担当):回転型発動分子(V-ATPase)の立体構造情報とそれを用いたMDシミュレーションによる動的情報、Biacoreを用いた物理化学情報を統合することにより、本発動分子のATPに依存した作動原理を明らかにした(BBRC 533, 1413-1418, 2020)。これに基づき、回転発動分子の合理設計指針をA01, B01班に提案した。
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