研究実績の概要 |
精神病態の分子基盤解明を可能にする次世代トランスオミクス技術の一環として、リン酸化プロテオームを「リン酸化する側(kinase側)」と「リン酸化される側(substrate側)」に分けて両者をつなぐネットワークを再構築する技術を開発し、インスリンで刺激したラット肝がん由来Fao細胞から取得したリン酸化プロテオームデータに応用した(†Kawata, †Yugi et al. 2019 Genes to Cells)。また、トランスオミクス解析をin vivo解析(マウス肝臓の糖代謝制御)に応用する技術開発も継続して行った(Kokaji et al., bioRxiv)。経口グルコース負荷試験を課した健常マウス(C57BL/6J)および肥満マウス(ob/ob)の肝臓における応答をタンパク質リン酸化およびトランスクリプトーム、メタボロームの3階層にわたって計測済みである。これらのデータに基づいて健常マウスと肥満マウスそれぞれの多階層代謝制御ネットワークを再構築し、両者の差分となる部分の特徴の解析を進めている。このほか、スウェーデン・カロリンスカ研究所と理化学研究所が合同で開催した大学院生向け講座“Bioinformatics analysis of gene regulation in omics data and its applications to medical problems”にて“Reconstruction of insulin signal flow from phosphoproteome and metabolome data”と題して講演し、トランスオミクスの基盤を成す考え方や手法を解説した。
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