研究実績の概要 |
これまで開発してきた次世代トランスオミクス技術の概念実証として、健常マウスおよび肥満マウス(ob/ob)の骨格筋におけるトランスオミクスネットワークをそれぞれ再構築し、両者の代謝制御上の共通点や差異について論文発表した(Kokaji et al. 2022, Sci. Rep.)。さらに、新たにタンパク質間相互作用を取り扱えるように次世代トランスオミクス技術を拡張し、ハエにおけるインスリン作用のメカニズムの解明に応用した結果を論文出版した(Terakawa et al. 2022, iScience)。また、統合失調症患者由来の神経系細胞に関する既報トランスクリプトームデータのメタアナリシス(昨年度論文出版。Okamoto et al., 2022)で用いた手法を改良し、トランスクリプトームデータのbatch effect除去を実施する改良型パイプラインを構築した。当該パイプラインを用いて予備的に統合失調症患者由来データを再解析し、これまでに転写制御ネットワークの同定に成功している。現在は当該ネットワークを構成する遺伝子とeQTLの関係にあるSNPsの同定へと歩を進めている。さらに、他の疾患・形質に関する同様のトランスクリプトームデータのメタアナリシスにも当該パイプラインを広く応用し、公開データに基づくトランスオミクス解析の実現に向けて技術基盤の実証を進めている。これら以外では、トランスオミクス解析の結果得られた多階層ネットワークの視覚化を自動化するオープンソースのRパッケージtransomics2cytoscapeとその概要を解説したプレプリントを公開した。当該プレプリントは現在論文査読中である。
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