研究領域 | マルチスケール精神病態の構成的理解 |
研究課題/領域番号 |
18H05433
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 (2019-2022) 群馬大学 (2018) |
研究代表者 |
高木 朗子 (林朗子) 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60415271)
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研究分担者 |
田中 昌司 上智大学, 理工学部, 教授 (30188304)
干場 義生 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (40780200)
藤原 和之 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20735154)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 樹状突起スパイン / 統合失調症 / XLスパイン / 超線形神経演算 |
研究成果の概要 |
SETD1A hKOマウスやDISC1 cKOマウスらの統合失調モデルマウスの樹状突起スパイン体積を検証したところ、モデルマウスでは、異常に大きいスパイン(XLスパイン)が有意に多く、XLスパインを刺激した場合、超線形の神経演算が生じた。さらに、XLスパインの行動への関与を検証するために、シナプス光遺伝学を用いて巨大スパインの生成を予防したところ、SETD1A hKOマウスで観察された作業記憶障害は正常化した。またげっ歯類モデルで得られた所見が患者と関連があるか否かを調べるために、統合失調症由来死後脳を検証した結果、巨大スパインは統合失調症患者で有意に多いという結果が得られた。
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自由記述の分野 |
基礎精神医学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一つの神経細胞には約1万個のシナプスが存在し、多くのシナプスが同時期に協調的に入力することが神経細胞の発火に重要とされている。しかし今回、少なくともある一群の統合失調症患者では、ごく少数の巨大スパインを介した非常に強いシナプス入力だけで、神経細胞の発火が決定付けられている可能性が示された。これらの結果より、少なくとも一部の統合失調症患者には、非常に強いシナプスにより神経演算の歪みが生じ、それらが病態生理の一部を担うという全く新しい仮説が提唱できた。これらの知見は統合失調症の治療戦略の少なくとも一部は再考を要することを示唆する。
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