研究領域 | マルチスケール精神病態の構成的理解 |
研究課題/領域番号 |
18H05435
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
加藤 忠史 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (30214381)
|
研究分担者 |
吉川 武男 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (30249958)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
キーワード | 双極性障害 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
二大精神疾患である双極性障害と統合失調症は、いずれもゲノムを基盤として発症し、脳画像研究で脳形態変化が報告されているにもかかわらず、その細胞レベル・神経回路レベルの病態はほとんどわかっていない。本研究の目的は、双極性障害と統合失調症の精神病態を分子から行動に至る多階層で構成的に理解することである。平成31年度(令和元年度)は、双極性障害トリオ家系のエクソーム解析でde novo変異が見出された遺伝子に、患者の変異を模した変異をCRISPR/Cas9法を用いて導入した遺伝子改変マウスを用いて、網羅的行動解析および輪回し行動解析を行うことにより、フェノミクス解析を進めた。見出された行動変化の原因と推定される神経回路を同定するため、形態学的解析を行った。さらに、マウスの行動変化の原因となる細胞群を同定するため、マウスの視床室傍核より、神経細胞を単離し、セルソーター(FACS)を用いて単一細胞を得て、single cell RNAシーケンスによるトランスクリプトーム解析を行う方法を確立した。また、変異を持つ患者から作成した患者由来iPS細胞を用いて、神経細胞に分化させ、RNAシーケンスを行い、精神疾患に関連した神経細胞動態変化を明らかにするため、iPS細胞の作成を行った。また、作成したiPS細胞を標的とする細胞に分化させ、シグナリング分子による摂動を加え、トランスクリプトーム、プロテオミクス等を組み合わせたトランスオミクス解析を行うため、実験系を構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度(令和元年度)は、双極性障害で見出された遺伝子変異を持つモデルマウスの行動解析を順調に進めて、ほぼ終了した。形態学的解析も行った。また、マウスの視床室傍核より神経細胞を単離し、セルソーターを用いて単一細胞を得て、RNAシーケンスによるトランスクリプトーム解析を行う方法を確立することができた。また、患者由来iPS細胞も作成することができた。以上より、計画は順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで、本研究は順調に進展している。今後は得られたデータを元に、数理モデルを構築することが課題であり、現在共同研究を進めるべく準備中である。
|