研究領域 | 都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究 |
研究課題/領域番号 |
18H05445
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30323223)
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研究分担者 |
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
西山 伸一 中部大学, 人文学部, 准教授 (50392551)
池田 潤 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60288850)
唐橋 文 中央大学, 文学部, 教授 (80453679)
春田 晴郎 東海大学, 文化社会学部, 教授 (90266354)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 古代メソポタミア / 楔形文字学 / 西アジア考古学 / 都市 |
研究実績の概要 |
初年度にあたり、5つの研究班(1.シュメル都市研究班、2.古・中バビロニア時代研究班、3.中・新アッシリア時代研究班、4.新・後期バビロニア時代研究班、5.ヤシン・テペ考古学発掘調査班)を組織し、それぞれ、関連の研究を開始した。主たる研究内容として、以下があげられる。 (1)シュメル都市研究:ラガシュ(ギルス)出土のエ・ミ文書に見られる祭儀に関するデータを収集してその詳細(祭儀対象、行為者、時、場所)を明らかにした。(2)古・中バビロニア時代研究:古バビロニア時代のテル・タバンに関連する複数の研究を実施。具体的には、タバトゥム(テル・タバン)の都市景観と祭儀に関する用語(salahum, mahanumなど)のデータを集め分析した。また、エマルの社会構造を財産相続や財産の売買契約に関する文書から分析した。(3)中・新アッシリア時代研究:中アッシリア時代のタベトゥ(テル・タバン)で礼拝されていた神々とその祭儀に関するデータを建築記念碑文、行政文書等から収集し分析した。(4)新バビロニア時代の楔形文書、聖書関連記事による人名研究ならびに、アケメネス朝・アルサケス朝期のイランの都市や州の行政を考察した。(5)ヤシン・テペ考古学発掘調査:アッシリア帝国東部辺境の拠点都市の遺構が発見されたヤシン・テペ遺跡から出土した金属器・土器・人骨などの保存処理・記録・研究を実施し、同遺跡のさらなる調査に向け、磁気探査をおこなった。 また、海外から研究者を招聘して、メソポタミア景観考古学に関するワークショップを開催し、考古学と文献学の協働による都市景観分析の可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度ということで、研究組織の確認、基礎資料の収集、研究員の雇用などにも時間を要したが、それぞれの研究班での研究活動は順調に開始された。 また、イラク・クルディスタンにおける調査活動も、すでに発見された大量の遺物(金属器、土器)の保存処理と研究、ならびに磁気探査などの結果を通した次なる発掘調査の計画策定も進展した。 ワークショップの開催を通じ、景観考古学的分野における海外との連携、ならびに文献学と考古学を連結した都市景観研究の模索も開始された。 それぞれの研究活動のまとまった成果を見るには、ある程度の時間が必要だが、初年度の限られた時間のなかで、組織作り、資料収集、調査、研究について、次年度につながる準備ができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
各研究班において、それぞれの時代の都市景観と機能に関する研究項目の整理をさらに進め、夏休み前にすべての研究班を集めて第1回の研究会を開催し、研究テーマについて研究班の間で情報を共有した上で、問題意識の交換やすりあわせを行い、通時的に古代メソポタミア都市の構造を把握するためのバランスのとれた研究体制を整えることが急務である。第1回研究会をへて、すでに開始している研究の進展や取りまとめをはかるとともに、それぞれの時代を代表する都市の景観と機能について一定の理解をまとめ、それを速やかに計画研究全体で共有することを目指したい。 ヤシン・テペ遺跡の調査では、発掘調査の拡大による新アッシリア時代の当該地域の都市構造のさらなる解明とともに、出土した遺構と遺物の記録を進めることを重要視するが、同時に、重要な遺物(金属器、文字資料など)の個別研究にも優先的に取り組む。
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