研究領域 | 都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究 |
研究課題/領域番号 |
18H05449
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松原 康介 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00548084)
|
研究分担者 |
谷口 陽子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40392550)
木村 周平 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10512246)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
キーワード | アレッポ / アルジェ / 地中海都市 / 都市計画 / 都市史 / 重層性 |
研究実績の概要 |
本年度の実績として、1)アルジェの近代都市計画史研究、2)戦後仏語圏における都市計画家の交流史研究、3)地中海諸都市の比較研究、および4)シリアにおける実践的な文化財研修を通じた研究交流の4つを報告する。 1)アルジェの近代都市計画史研究では、ローマ時代に起源を持つ旧市街、1830年から130年以上続いたフランス植民都市計画、及びル・コルビュジエや日本の番匠谷堯二らが活躍した独立期のスラム調査や廉価住宅の特徴を考察し、地域の自然や伝統的住宅の形式に即した計画が試みられていたことが明らかとなった。 2)戦後仏語圏における都市計画家の交流史研究では、ボディアンスキー、キャンディリス、アニング、番匠谷の、出自の異なる4名の都市計画家が、ATBAT(建造者アトリエ)における実践を通じていかなる計画論を模索していたのかが明らかとなった。カサブランカで実践されたキャンディリスの「最大多数のための住まい」は、番匠谷との交流によって「進化型住宅」へと発展していった。これが後年の中東・北アフリカにおける都市計画論へとつながっていく。 3)地中海諸都市の比較研究は、共著による出版を機会に実施したもので、文系理系と問わず、都市を研究対象としている方々との比較研究を通じて、その歴史、計画史のポイント、観光資源などについて広く浅く知見を得た。本年度から新たに加わる分担者にはこの時の共著者が多く含まれている。 4)より実践的な研究活動として、国連開発計画を通じて実施されたシリア人文化財専門家の日本国内およびレバノン国での都市計画史研修を行い、文化財の保全、記憶の継承といったテーマで研究交流を行った。この他、ベイルートの復興現場で働くシリア移民描いた映画『セメントの記憶』の解説記事を執筆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、西アジア地域都市計画史研究の土台となる、アルジェの都市計画史および戦後仏語圏の都市計画史研究が出版され、分担者にもなる共著者らとともに地中海都市の比較研究の成果の一端を出版されたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究分担者を大幅に増加したことで、より広い視点から西アジアの都市計画研究を展開する。代表者はダマスカスの重層的成り立ちについて研究を進める。
|