研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
18H05466
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新山 龍馬 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (00734592)
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研究分担者 |
望山 洋 筑波大学, システム情報系, 教授 (40303333)
郡司 芽久 東洋大学, 生命科学部, 助教 (80833839)
安藤 潤人 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (50899797)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | ソフトロボティクス / 連続ロボットアーム / 超冗長マニピュレータ / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
本研究では、動物の脊柱に見られるしなやかな弾性連続体の役割に注目し、ロボティクスの観点から人工的な脊柱の設計と制御の枠組みを構築することを目指す。生物の身体とその運動原理に迫る学際的なアプローチをとる。ロボットの身体に超多自由度の構造を新たに導入することは、俊敏さと巧みさを備えたしなやかなロボットの実現につながる。
2021年度は、ダチョウ規範型(ostrich-inspired)マニピュレータとしてRobostrich armと名付けた超冗長ロボットアームについて複数のハードウェアを用いた実験を行った。マニピュレータはワイヤ駆動される。人間が操作した時のワイヤ張力を、モータ駆動によって再現できる実験系を構築し、頭部の持ち上げの成功に関わる張力の推移を分析した。ダチョウ首の解剖学的構造に基づく、より精緻な機構を備えたマニピュレータの開発を行った。このマニピュレータにおいて首の上下運動が実現できた。また、弾性要素の付加し、重力のみで起こる受動的な動作についても計測を行った。このほか、骨の周囲を柔軟材料で覆った関節を製作し、弾性を計測してモデル化を行った。ダチョウの筋配置についてより詳しい情報が必要となったため、追加の文献調査を行い、重量比等の知見を収集した。制御の観点からは、さまざまな位置に頭部を動かすことを目標に強化学習実験を行い、冗長マニピュレータにおいてもリーチング動作が獲得できることを示した。開発したマニピュレータを移動ロボットに搭載した場合の諸問題の検討も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解剖学の知見を取り入れてより精緻な構造を備えたマニピュレータの開発が進んだ。また、ワイヤ駆動系の改良や、光学的な動作計測手法の確立によって実験系が整った。予備実験におけるロボットの観察から、再び解剖学の知見を精査するという工学と生物学の融合的研究が深まった。シミュレーションの活用によって、通常はハードウェアの開発進捗に律速される運動制御に関する実験を効率的に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
軟組織と硬骨が複合された生体と同様に、エラストマーと樹脂部品が一体化したロボットマニピュレータの製作手法を確立する。鳥類の首の変形やついばみ動作時の接触力などに注目し、生体を対象にした計測実験を行ってバイオメカニクス融合をさらに進める。運動制御については、シミュレーションによって獲得された運動を実機に移植することを目指す。また、車輪型や脚型のプラットフォームにマニピュレータを搭載してタスクを行うことを目指す。
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