研究実績の概要 |
領域設定期間に明らかにすることは、羽ばたき飛行・遊泳生物のしなやかな飛行・遊泳を実現するE-kagenな流体構造連成メカニズム及び身体デザインである。そのために、次のA~Eの5項目に分類して研究を進めている:A.生物とロボットの「しなやかな運動」と「しなやかな変形」の定量的な計測;B.生物の翼・筋骨格構造の機械特性の計測;C.数値計算と機械モデル実験による流体構造連成メカニズムの解明;D.サブミリ構造製作技術を用いたソフト構造の実装;E.ソフト飛行・遊泳ロボットによるロバスト性・効率性・俊敏性の構成論的検証(当初計画に追加)。 本年度は、水中遊泳について、ペンギンの羽ばたき遊泳の俊敏性を調べるために、3次元運動解析によって羽ばたき旋回遊泳メカニズムを明らかにし、国際論文を発表した(項目A)。本成果をプレスリリースして広く社会に周知した。ペンギンを規範とした俊敏かつ高効率な羽ばたき遊泳ロボットの実現を目指して、ペンギン規範型羽ばたきロボットを回流水槽で推力を評価し、翼の後退角と推進効率の関係を調べ、国際論文を発表した(項目E)。空中飛行については、ハチドリを規範としたタフで推力発生効率の良い柔軟翼を、3Dプリント支持構造とエラストマー翼膜で実現し、査読付き国際学会に採択された(項目D, E)。また俊敏な生物規範型飛行ロボットを目指し、鳥の尾羽を規範とした展開型尾翼によるピッチ・ロール・ヨーモーメント発生を実現し、国際論文を発表した(項目E)。また、昆虫の飛翔制御筋を規範とした冗長で弾性のある羽ばたき翼運動制御機構を実現し、国際論文を発表した(項目D, E)。さらに、ペンギンの体毛やサメの鱗を規範とした流体抵抗低減リブレットを柔軟フィルム上に実現し、国際論文と国際学会発表を行った(項目D, E)。
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