計画研究
本年度は異種基板上に作製した有機エレクトロニクスを導電接合させる技術の開発に取り組んだ。金の接合が可能となる新たな技術を開発した。厚さ1μmのパリレン基板上の蒸着金(表面粗さ5 nm)表面に水蒸気プラズマ処理を行い、金表面同士を大気中室温で接触させているだけで接合が完了する。従来の表面活性化接合技術では接合が完了しない粗い金表面で接合が完了することを確認した。また、高い解像度、機械歪み安定性、温度安定性を有していることも確認した。以上の内容で特許出願を完了させた。これに加えて球など非展開曲面に貼り付ける技術確立を行った。熱収縮フィルムと超薄型基板を組み合わせ、任意の位置で熱収縮フィルムを収縮させることで非展開曲面への自由な貼り付けを可能にした。このプロセス後でも有機太陽電池の性能がほとんど劣化しないことを見出した。以上の2点の内容について、現在論文執筆中である。高分子ナノ薄膜の超薄性と柔軟性を利用することで、低電圧で駆動可能な積層構造を有する身体貼付型の誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)の開発を進めた。具体的には、スチレンーブタジエンースチレン共重合体(SBS)からなるナノ薄膜上に単層カーボンナノチューブ(SWCNT)層を塗布することで、柔軟性と皮膚貼付性に優れるSWCNT-SBSナノシート(膜厚94 nm)を得た。この薄膜状電極を用いて積層型DEAを作製し、電圧印可時の変位量を測定したところ、誘電エラストマー層と電極層の膜厚を減少させることで、1 kV以下まで印加電圧を低下させることに成功した。今後は、DEAの膜厚構成を最適化することで、駆動電圧の更なる低下や触覚提示(ハプティクス)デバイスへと展開する。
2: おおむね順調に進展している
自由変形する超薄型有機太陽電池という目標に向けて、様々な有効なアプローチが実現しつつあるため、順調に進展していると言える。
新しく開発したDEAの駆動電圧をさらに低下させることで、弾性グラディエント構造を利用した有機薄膜太陽電池への接続ならびに生体表面上での駆動を目指す。また、接合技術については他の金属材料や異種金属同士、高分子フィルムの接合などへの拡張を目指す。
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