研究領域 | ミルフィーユ構造の材料科学-新強化原理に基づく次世代構造材料の創製- |
研究課題/領域番号 |
18H05482
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三浦 誠司 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50199949)
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研究分担者 |
江村 聡 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (00354184)
藪 浩 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (40396255)
斎藤 拓 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90196006)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | FCC / HCP / ポリマー / ミルフィーユ条件 |
研究実績の概要 |
ミルフィーユ構造物質(MFS)を三種類に区分し、サイズの効果の点から経験的ミルフィーユ条件を明らかにすることを一つの柱として物質探索を行った。(a) 結晶構造型MFSはLPSO相、MAX相、高分子系を含み、典型的層間隔はnmオーダーである。また、(b)組織制御型MFSはAl基やTi基などの二相合金を含み、典型的層間隔はμmオーダーである。さらに、(c)ハイブリッド型MFSはLPSO―Mg合金、V-V2AlC合金などを含み、組織制御型MFSの構成相の一方が結晶構造型MFSである物質と定義した、これらに関して下記のような研究展開が得られており、既に論文、特許などへの展開が進行中である。 (1)金属系MFSの創製:(1-1) Al-Ag系やNi-Sn合金において,面心立方構造fccと六方最密構造hcpの二相が共通のすべり面を持つことから,ミルフィーユ構造を実現できる合金系が見出された。(1-2) Ti-Mo二元系合金におけるhcp相とbcc相からなる層状ミルフィーユ構造物質が見出された。 (2)高分子系MFSの創製: (2-1)様々なブロック共重合体から,軟質のポリブタジエンやポリイソプレンと硬質のポリスチレンが配列したミルフィーユ構造が得られた.(2-2) フッ素系の結晶性高分子やそのブレンドに対して配向制御法を駆使してミルフィーユ構造を形成し、小角X線散乱測定と電子顕微観察による構造評価から、層状のミルフィーユ構造が形成されていることを確認した。 (3)セラミックス系MFSの創製:MAX相を金属母相と組み合わせたMFS(V-V2AlC)が提案され、母相とMAX相の結晶学的方位関係が経験的ミルフィーユ条件を満たすことを明らかにすると共に、母相と協調的に変形することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
経験的ミルフィーユ条件を実験的に確認するために十分な素質を持ったミルフィーユ物質が多数確立された。高分子、金属、セラミックスおよびそれらのハイブリッド材において、転位運動屋塑性変形素過程が組織によって制御され、経験的ミルフィーユ条件の実現条件に関する知見が蓄積されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた学術的知見をさらに体系化していくと共に、それらに基づいてミルフィーユ構造のさらに幅広い物質系への展開を模索する。実験結果の他班との共有に基づいた理論構築への寄与と、その実験へのフィードバックを加速する。
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