| 研究領域 | ミルフィーユ構造の材料科学-新強化原理に基づく次世代構造材料の創製- |
|---|
| 研究課題/領域番号 |
18H05483
|
|---|
| 研究機関 | 山形大学 |
|---|
研究代表者 |
伊藤 浩志 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (20259807)
|
|---|
| 研究分担者 |
寺田 大将 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (80432524)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
| キーワード | 金属系ミルフィーユ構造材料 / 高分子系ミルフィーユ構造材料 / 特殊加工法 / キンク形成 / キンク強化 |
|---|
| 研究実績の概要 |
ミルフィーユ構造のキンク強化発現機構を層状の新規金属・セラミックス・高分子系ミルフィーユ構造「物質」に対して、独自の塑性加工法によりキンク形成・強化させることにより新規ミルフィーユ構造（MFS）「材料」を創製することを目的として研究を行っている。高分子系において、１）ブロックコポリマーによるMFS作製とキンク形成に関して、２）多層フィルムを用いたマイクロ多層MFSの形成とキンク形成に関して、３）高分子結晶の高圧プレスによる多層構造とキンク形成に関して取り組んだ。特に、１）においては、ラメラ（ミルフィーユ）構造を有するSBSブロックコポリマーに対して、一軸延伸、固相押出装置によるキンク形成加工を行った。その結果、ラメラが折れ曲がりキンク構造が確認された。さらに、このシートに圧縮せん断ひずみを負荷しせん断応力を測定した結果、圧縮せん断ひずみをかけた後に再度同様のひずみをかけてせん断応力を測定すると、せん断応力は著しく増加する現象を発見した。Mg以外の新規金属系ミルフィーユ物質として、Al/Ag2Al ミルフィーユ構造、Cu/Nbミルフィーユ構造、Al/Znミルフィーユ構造、電気めっき法金属系ミルフィーユ構造膜を積層させたNi-Co-Cu/Cuミルフィーユ構造、無電解NiPめっきとSBSのディップコーティングによる組み合わせた金属/高分子ミルフィーユ構造膜等を対象として研究を行った。時効と圧延によりAl/Ag2Al ミルフィーユ構造を作り込んだ試料に対して,圧縮試験を行いキンク帯の形成について検討を行った。Cu/Nbミルフィーユ構造においては、圧延接合とARB加工により、CuとNbが層厚30μmで積層したミルフィーユ材料を作製できた。圧縮変形後の組織観察より、層が屈曲し変形が局在化したキンク帯の形成を確認することができた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、高分子系においては、高分子系ミルフィーユ構造（MFS）物質の塑性加工機システム構築を目指し、汎用塑性加工法（延伸・圧延加工）や特殊加工法（固相押出せん断変形、ナノインプリント）の準備を行うとともに、様々な材料において、MFS形成、キンク形成、キンク強化の観点から取組み、MFSおよびキンク形成に関して計画通りの進展がなされた。塑性加工を行うミルフィーユ物質は、他の研究班から供給され班内連携等によっても、想定される物質を自分たちで作製し、塑性加工の基礎検討を開始し、延伸、圧延、固相押出加工等に取組んだ。Mg以外の新規金属系においても、ひずみ量やひずみ速度を制御しながら圧延を施すことで、各物質のキンク形成能力を評価し、加工条件とキンク形成に関する基礎的知見を蓄積することが出来た。
|
| 今後の研究の推進方策 |
次年度は、高分子系・金属系新規ミルフィーユ物質に対して開始した汎用塑性加工法（圧延・押出・引張）や特殊加工法（固相押出・ARB・ECAP・HPTなど）によるキンク形成の検討を本格的に進め、各種変形様式で幅広くのキンク形成加工を継続的に行う。既に、キンク形成が確認されたサンプルもあるが、真の材料とする場合はより広範囲で均一化・安定化が必須である。これらのキンク形成の確認とともに、加工条件とキンク形成の関係の整理、その形成メカニズム解析を進める。さらに次年度以降には、キンク形成された材料の力学特性解析を行い、他班（A02班やA03班）と協力して、キンク強化の発現メカニズムの解明、一般化ミルフィーユ条件およびキンク形成条件を明らかにするための検討を進める。
|
