研究実績の概要 |
これまで、植物が機械刺激を内生発生プログラムに反映し利用している可能性については、ほとんど議論されていない。多くの植物発生研究者が、研究手法の確立した分子生物学的・遺伝学的研究を行っている状況の中で、植物を対象とした張力測定や張力の人為的なコントロールといった機械刺激を扱う実験手法が確立されてこなかったことがその要因である。本研究では、植物がもつ2種類の構造システム形成戦略、(1)表皮のタガとしての機能と内部構造の最適化戦略システム、および、(2)重力を含む機械刺激による根系形成の最適化戦略システム、を読み解くことで、機械刺激が植物の形態形成を制御し、力学的構造最適化を図るしくみを明らかにする。 研究項目(1)では、分担のAli Ferjani(東京学芸大学)とともに、植物の表皮のタガとして機能することを分子遺伝学的に明らかにし、報告した(Asaoka et al., Development, 2023)。 研究項目(2)では、植物が引き抜かれる力に抗う根の構造と機能を明らかにするために、X線CTスキャンを用いて解析方法を行った。根が、堅い地盤にはもぐりこめない現象を発見し、その現象について、シミュレーションに成功した。
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