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植物は栄養条件に応じて成長のパターンを変化させることが知られており、これまで栄養の濃度勾配や細胞壁組成が成長パターン変化に大きな影響を及ぼすことを見出して来ている。植物の根は栄養の獲得と併せて地上部を支え水分を吸収する役割があり、このような栄養に応じた成長パターン変化は根の持つ様々な機能の発現の中で起こるものと考えられ、この成長パターン変化に細胞壁が重要な役割を持つことは、植物の力学性質の関与が示唆される。本研究では植物の栄養や水分環境に対する応答を、分子生物学的や生理学的な理解を深めるとともに、植物組織や細胞の力学的な側面からも理解を深め、これらの解析を統合することを通じて、植物が持つ環境に応じた応答能力の力学的な構造を理解し、新たなモジュール構造等を提案することを目的として進めてきた。
本年度の成果を列挙する。植物の栄養条件に応じた応答については、栄養条件に応じた根の成長パターン変化を示す変異株についての解析を通じ成長パターン変化にオーキシンの分布変化が関連していることや、屈曲する根の外側と内側での遺伝子発現パターンの違いを明らかにし論文発表した。生育中の根の力学的な測定については、多くの系統についての調査を行い、その結果をもとに、染色体のどの領域が力学的な変化に重要な役割を担っているかを推定した。また、植物に力学刺激を与えた時の成長促進については、与える力学刺激の強度と生育促進の関係を明らかにし、生育促進には一定範囲の力学強度が重要であることを明らかにした。またこれまでに明らかにしていた成長促進した植物では特有な元素組成や遺伝子発現パターンをもとに、生育促進に関与すると思われる遺伝子の変異株に力学刺激を与え、その成長に及ぼす影響を調査した。
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