計画研究
植物の葉の表面を構成する表皮細胞は発生初期には単純な形状を呈しているが、成長が進むにつれて細胞壁が湾曲して細胞同士が噛み合うようなジグソーパズル状に変形を遂げる。これまで表皮細胞の形態変化を制御する分子実体や理論モデルの研究は進んできたものの、その湾曲構造が持つ意義については未だ不明瞭な点も多かった。そこで本研究では、成長に伴う子葉の形態変化と同時に子葉表皮を構成するほぼ全ての表皮細胞の位置と形態の変化を計測する技術を開発した。また本研究で得られた知見に基づき、葉表皮細胞同士の噛合いを模した継ぎ手構造を創造するなど、建築構造分野への応用を目指した。さらに、本領域の統一課題である重力応答への適用を目指して三次元的な樹形構造の画像解析手法を構築した。1.子葉表皮細胞における細胞壁湾曲の構造学的検討金属顕微鏡法と深層学習に基づいてシロイヌナズナ子葉の表皮細胞形態を広範囲かつ経時的に計測する実験系を確立した。また、細胞膜が蛍光標識された子葉表皮組織を非破壊的に共焦点顕微鏡で撮影し、VRを活用した四次元観察により子葉表皮細胞の変形を計測する実験系を確立した。上述の実験系を活用し、微小管結合タンパク質RIC1の過剰発現体における子葉とその表皮細胞の形態を実験と数理の両面から解析したところ、ジグゾーパズル型の細胞形状は器官レベルでの局所的な成長量を緩衝することによって子葉の団扇型の形態形成に寄与する可能性が示唆された。また、建築構造物に葉表皮細胞のジグゾーパズル形状を活用する検討も進めた。2.樹形構造を定量評価する画像取得解析系の構築シロイヌナズナの花茎や側枝など地上部の三次元形態を非破壊的に再構成するとともに、側枝の角度分布および曲率を計測する実験系を開発した。この実験系を用いてミオシンXI変異体の側枝の表現型解析を行い、上向きの側枝成長にミオシンXIが必要である可能性が示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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