研究領域 | ケモテクノロジーが拓くユビキチンニューフロンティア |
研究課題/領域番号 |
18H05499
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 一宏 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252459)
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研究分担者 |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | ユビキチン / ステープルペプチド / ユビキチンシグナル / 炎症シグナル / 直鎖状ユビキチン鎖 |
研究実績の概要 |
本研究ではケモテクノロジーを用いて5年間の研究期間中にユビキチン修飾の多様な機能を解析することを目指す。2年目である本年度は以下の3項目から研究を推進した。 1.ケモテクノロジーを用いたLUBACリガーゼの制御とその応用展開:研究代表者らはLUBACによる直鎖状ユビキチン鎖生成はB細胞リンパ腫発症に寄与することを示していたが、その詳細なメカニズムは不明であった。LUBAC高発現モデルを用いてBリンパ腫発症機構の解析を進め、直鎖状ユビキチン鎖はDNA損傷依存的な細胞死を抑制することで遺伝子変異の蓄積することでリンパ腫発症を促進することを示した。さらに、同マウスから樹立したBリンパ腫株の移植モデルを用いて、他の計画研究の代表である吉田と開発したLUBAC阻害剤を用いて、LUBACがBリンパ腫の増殖を抑制することを個体レベルで示した(Blood誌印刷中)。さらに、LUBAC複合体の結晶構造を踏まえた新規LUBAC抑制剤の開発も進め、化合物候補を同定中である。 2.ケモテクノロジーによるユビキチン鎖認識の選択的阻害:複数のユビキチン修飾が有機的に連携して機能するTNF-αシグナル系をモデルとして解析する。昨年度に設計したNEMO UBAN、A20 ZF7、HOIL-1L NZFとM1鎖との結合を特異的に阻害するステープルペプチドを試験管内アッセイ法を用いて検定し、A20 ZF7、HOIL-1L NZFに関してはM1鎖との結合を特異的に阻害するペプチドを単離した。 3.ユビキチン修飾の新機能のケモテクノロジー解析:M1鎖とUBDの結合阻害の試験管内スクリーニング系を作製し、計画研究の吉田が開発したスクリーニング系を用いて、阻害化合物の検索に着手する候補を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本領域の吉田とともに開発してきた個体に投与可能なLUBAC阻害剤がB細胞リンパ腫の治療薬となることのPOCが取得できた。本領域でのより副作用の少ない阻害剤開発の重要性が明確となった。
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今後の研究の推進方策 |
結合を阻害するステープルペプチドを同定できたので、ケミカルツールを用いたユビキチン系の解析をより一層推進する。
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