計画研究
本研究ではケモテクノロジーを用いて5年間の研究期間中にユビキチン修飾の多様な機能を解析することを目指す。4年目である本年度は以下の3項目から研究を推進した。1.ケモテクノロジーを用いたLUBACリガーゼの制御とその応用展開:研究代表者らはLUBACによる直鎖状ユビキチン鎖生成はB細胞リンパ腫発症に寄与することを示していたが、他の計画研究の代表である吉田と開発したLUBAC阻害剤を用いて、LUBACがBリンパ腫の増殖を抑制することを個体レベルで示した(Jo et al. Blood 2020)。さらに、LUBAC複合体の結晶構造を踏まえた新規LUBAC抑制剤の開発も進めている。これまでの解析でリード化合物が取得できなかったので、AI創薬に着手した。2.ユビキチン修飾の新機能のケモテクノロジー解析:M1鎖とUBDの結合阻害の試験管内スクリーニング系でM1鎖とHOIL-1L NZFの結合を阻害する化合物を同定した。さらに基礎的検討で同化合物が細胞内でもM1鎖とHOIL-1L NZFの結合を阻害する可能性を見出している。また、HOIL-1L、SHARPINのNZFと直鎖状ユビキチン鎖との結合阻害によって、刺激依存的に細胞を死に導くことができることを示す予備的知見を得た。3. LUBACはHOIP、HOIL-1L、SHARPINの3サブユニットから構成され、活性中心であるHOIPだけでなく、HOIL-1Lもユビキチンリガーゼ活性を持つ。本年度、研究代表者らはHOIL-1Lリガーゼ活性を欠失がLUBACのM1鎖形成能を亢進させて細胞内感染菌の感染を抑制することを見出した。そこで、HOIL-1Lユビキチンリガーゼ活性阻害剤のスクリーニング系を構築して、吉田とともに化合物の一次スクリーニングを施行し、LUBAC賦活剤の生成に挑んでいる。
2: おおむね順調に進展している
本領域の吉田とともに開発してきた個体に投与可能なLUBAC阻害剤がB細胞リンパ腫の治療薬となることのPOCが取得できたので、本領域でより副作用の少ない阻害剤開発を推進している。
ケミカルツールを用いたユビキチン系の解析をより一層推進する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Brain
巻: In press ページ: In press
10.1093/brain/awac017
FEBS Letters
10.1002/1873-3468.14323
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 118 ページ: e2102902118
10.1073/pnas.2102902118
Protein Expression and Purification
巻: 187 ページ: 105953~105953
10.1016/j.pep.2021.105953
Angewandte Chemie International Edition
巻: 60 ページ: 19804~19812
10.1002/anie.202105527