研究領域 | ケモテクノロジーが拓くユビキチンニューフロンティア |
研究課題/領域番号 |
18H05500
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 茂穂 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20344070)
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研究分担者 |
山野 晃史 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (30547526)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | ユビキチン / プロテアソーム / オートファジー / ケモテクノロジー |
研究実績の概要 |
1. ケモテクノロジーによるプロテアソーム制御:プロテアソーム形成シャペロンUmp1をベイトとした化合物スクリーニングによりプロテアソーム活性を強く低下させる化合物を得ており、詳細な分子機構を解析中である。また、プロテアソームのユビキチンデコーダーRpn13の特異的機能の解明、プロテアソーム形成の新規機構の発見、細胞環境に応答した劇的なプロテアソーの形成の亢進機構、新しいユビキチンデコーダ―の発見と生理機能解明(、プロテアソームとオートファジーのクロストーク仲介因子の発見などを論文として発表した。 2. ケモテクノロジーによるユビキチン選択的オートファジーの制御:ユビキチン化基質をオートファジーマシナリーへと誘導するデコーダー分子群と相互作用するタンパク質を細胞内で探索できる実験系を開発し、2種類のデコーダー分子NDP52とOPTNがそれぞれオートファジーの最上流因子であるULK1複合体とATG9Aベシクルと相互作用することを発見した)。これにより、オートファジーカスケードにおいて最上流にあるコア分子群を集積させる機能が、オートファジー専用のユビキチンデコーダー分子に備わっていることが立証された。 3. キメラ化合物による選択的分解誘導系の開発:領域内共同研究によって、SNIPER化合物の添加で、Parkin-PINK1非依存的にミトコンドリアを選択的に分解できる系を構築した。オートファジーマシナリーと標的オルガネラを直接連結させるキメラ化合物については引き続き、分子情報の収集を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全ての課題について、化合物取得のためのアッセイ系構築が完了し、さらにスクリーニングも大半が終了し、現在取得化合物の詳細な評価を実施中である。一部化合物についてはすでに細胞レベルで期待通りの効果を発揮することを確認し論文化しており、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1. ケモテクノロジーによるプロテアソーム制御:プロテアソームユビキチン受容体の基質選別機構の解明:プロテアソーム上の3種類のユビキチン受容体サブユニット(RPN1, RPN10, RPN13)についてユビキチン鎖との相互作用を阻害する化合物が取得でき次第、in vitroおよび細胞によるアッセイを実施する。栄養環境に応答したプロテアソーム分子集合の動的制御の生理的意義の解明:Ump1阻害剤と期待される候補化合物の特異性、off-targetを調べ、プロテアソーム分子集合阻害特異的に作用していることを確認する。 2. ケモテクノロジーによるユビキチン選択的オートファジーの制御:オートファジー専用デコーダー分子の基質選別機構の解明:損傷ミトコンドリアの選択的オートファジーを中心に、ユビキチン化タンパク質をオートファジーマシナリーへ運ぶデコーダー分子群のユビキチン鎖特異性と基質特異性を明らかにするための、相互作用阻害剤の候補化合物が取得でき次第、in vitroおよび細胞によるアッセイを実施する。既知のオートファジー経路に依存しないオルガネラ分解機構の探索:ESCRT複合体によるユビキチン認識によるオルガネラ分解の立証と機構解明に挑む。 3. キメラ化合物による選択的分解誘導系の開発:ユビキチン非依存的な選択的分解誘導法の開発:結合化合物が取得でき次第、結合性をビアコアにより確認するとともに、結合特異性を確認する。有望な化合物についてはプロテアソーム・オートファジーマシナリーと標的タンパク質・オルガネラを連結させるキメラ化合物の作製を開始する。
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