計画研究
本研究では、ケモテクノロジーを駆使して、ユビキチン修飾系を理解し、操作する新たな方法論、すなわちUbTACsやPROTACs等新たなユビキチン化誘導キメラ分子、各種デコーダー分子の相互作用阻害剤、脱ユビキチン化酵素阻害剤等を開拓しようとしている。キメラ分子創製を目的にE3リガーゼの新規リガンドを探索するため、独自技術である化合物アレイを活用する。さらにタンパク質品質管理におけるユビキチン修飾系の役割を解析するためのケミカルバイオロジーを展開する。2022年度は、スプライシングエラーとユビキチン化を介した品質管理機構の関係に着目した。近年、スプライシング異常と疾患の関連が明らかになりつつあり、スプライシングエラーによって生成されるイントロン配列由来のタンパク質に注目が集まっている。そこで本研究では、スプライシング因子SF3Bに直接結合してスプライシングを調節するスプライソスタチンAを用いてどのような遺伝子のイントロン配列がタンパク質に翻訳されるかをリボソームプロファイリングとクリック反応を利用した新生タンパク質質量分析を組み合わせて解析した。その結果、約1,000種類のイントロン配列の翻訳が観察され、その一部は細胞内に凝集体として蓄積した。それらはユビキチンを含むアグリソームを形成し、そのタンパク質毒性ストレスによりストレス応答性MAPKであるJNKの活性化が観察された。さらにJNKによるリン酸化の結果、mTORC1活性の抑制が引き起こされ、翻訳抑制が観察された。このことは、異常なイントロン配列の翻訳はタンパク質凝集体を形成して毒性を発揮するが、それを緩和する細胞内応答の結果、異常タンパク質の翻訳を抑制するフィードバック機構が存在することが明らかになった。このことは、細胞にはスプライシングエラーを関知して翻訳を厳密に制御するシステムが備わっていることを示唆する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (49件) (うち国際学会 8件、 招待講演 12件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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