計画研究
研究1: ヒトに帯同するジャコウネズミに関するゲノム学的解析を行い、5000-6000年前に中国南部およびベトナムを含むアジア大陸東南端部で急激な集団の増大現象が起こり、その後、フィリピンおよびインドネシアの島嶼域にも拡散したことが示唆され、ハツカネズミおよびクマネズミの時空間動態との類似性も認められた。これら3種の分布拡大にオーストロネシア祖語話者の活動が関与した可能性が示唆された。研究2:高品質なゲノムデータでの集団遺伝解析により、アジアにおけるイネの集団構造を明らかにした。ヤポネシアにおいては、南北で頻度の異なる2つの分集団構造が見いだされ、芒の有無の原因遺伝子の座上する領域などが両集団間で分化していた。ヤポネシアの温帯ジャポニカは韓国の集団と近縁性を示し、韓半島経由での伝来を支持した。また熱帯ジャポニカ集団は中国の集団と最も近縁であったが、東南アジア島嶼集団からの移入が検出された。インディカについては、朝鮮半島の集団と近縁性を示したが、台湾集団からの移入が検出された。研究3:ヒョウタン標本のNGS解析データに基づく分子系統ネットワーク解析はアジア型とアフリカ型を両極端として結ばれる直線の中央付近から他の標本が放射状に分岐する形を示した。RAD-seqデータによる主成分分析の結果とも整合性があり、ヒョウタン伝播の地理的経路を反映しているものと考えられた。研究4: 北海道ヒグマについて、常染色体の一塩基多型に基づく集団構造解析を行い、道南地域と、日髙地方・道北道東地域の分化という地理的構造を明らかにした。また種分布モデルは、北海道ヒグマにおいて最終氷期最盛期の集団サイズの減少経験があったことを示した。さらに、ヒグマ全ゲノムデータにより、北海道とエトロフ島の個体群は、サハリンや極東ロシアの個体群よりもホッキョクグマとの間に遺伝子流入があることが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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