計画研究
本計画研究では、転写のされやすさの潜在性に関与すると思われる核内でのクロマチンの運動性について、細胞核の大きさの関数として定式化することに成功した(Phys Rev Lett, 2022)。この「クロマチン運動方程式」と名付けた方程式はポリマー物理学に基づくものであり、生きた細胞内でのクロマチンの挙動を物理学的に説明できることを示した重要な成果である。本成果は、研究代表者である木村暁らによる物理計測と、分担者である坂上による理論モデル構築を、相互にフィードバックさせながら共同研究を進めたことによって初めて達成が可能になったものであり、領域を組織した意義を示すものでもある。例えば、実験データの解析に理論的な考察を加えることにより、これまで困難であった「激しく動く核内でのクロマチンの動きを(核の動きの影響を排除して)定量化する」新手法を開発した。本成果に関しては和英両方において総説論文を執筆し、広報に努めた。その後、本研究で提唱した「核内でのクロマチンのメッシュサイズ(網目の大きさ)」を実験と理論を組み合わせて推定することにも成功している(投稿準備中)。前述の新しい解析手法の理論的基盤についても研究を進めた(投稿準備中)。本研究をさらに発展させることにより、クロマチンポテンシャルをクロマチンの状態の関数として定式化することにつながると期待できる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (3件)
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