研究実績の概要 |
本研究では、減数分裂における細胞核およびクロマチン構造の変換メカニズムを明らかにするために、分裂酵母をモデルとして、減数分裂期への移行に伴っておこるクロマチンの核内配置や、減数分裂期特有のクロマチン局所構造を、イメージングと分子遺伝学的手法などを用いて解析をおこなっている。 本年度は、まずクロマチンと核膜・核膜孔複合体との相互作用を解析するために、分裂酵母の核膜タンパク質Lem2とBqt4の相互作用に注目した。Lem2の局在が別の核膜タンパク質Bqt4に依存することを明らかにし、論文を発表した(Hirano et al., 2018)。また、進化的に離れた繊毛虫においてもLem2タンパク質を同定することに成功し、Lem2タンパク質の普遍的な重要性を示唆した(Iwamoto et al,, 2019)。さらに、ヒト核膜孔複合体のアセンブリーの仕組みについても論文を発表した(Sukriye et al., 2019)。 次いで、非コードRNAとの相互作用を解析するために、非コードRNAが蓄積するクロマチン領域を特定した。また、この領域に非コードRNAを蓄積させるために必要なタンパク質を探索した。その結果、RNAプロセッシングに関わる普遍的なタンパク質を見いだした。さらに、染色体の特定領域に蓄積した非コードRNAが相同染色体の対合に寄与することが明らかになった。この成果は、論文として投稿準備中である。さらに、分裂酵母ゲノム約150箇所にlacOリピートを挿入しLacI-GFPで可視化した株を用いて、相同染色体の対合をゲノムワイドに解析することに成功した(未発表)。 さらに、ヒストン修飾によるクロマチンの制御を解析するために、ヒストンH2A、H3、H4の変異体を作製し、減数分裂での染色体分離を解析し、染色体分離に異常を示す変異株を取得した。この成果は、論文として投稿準備中である。
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